窓にある赤い三角を剥いだらそこだけ白いような夕焼け
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店先に張られた迷い猫のビラみんなじっくり見ていく土曜日
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一万円いきぐるしくて秋の空ゴミにはカラス鳴るキーボード
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「大切な人」「そばにいてほしい人」 どっちも「好き」って 意味だと気づけ!
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すぅーっと、伸びて今にも切れそうな、女性ひととの関係、そして運命
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茶屋町も雨も手も耳の熱ささえ とうのむかしに忘れちゃったよ
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河川敷 語り口こそ 変われども いくつになっても 青春してたい
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「輝きは無責任から生まれるの」ぼくを見捨てた彼女は綺麗
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この街は過剰に僕を甘やかす 素手で掴める有刺鉄線
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よく吠えるわが家の犬と好きなだけ伸びる草木に声かける朝
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世界とを 隔てるマスクに隠された 生まれたばかりの あおの口紅
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どれだけの 思いが込められてるかなど 意にも解さず 風船は飛ぶ
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(ある日の朝刊の一面)「寝てるに口づけされた眠り姫 王子に対し訴訟の構え」
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口滑り、慌てるあなたを見ていると わたしの口はつられて緩む
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「可愛くて食べられない」だと?本当に可愛いものは食べたくなるだろ
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雨を受け、育った花を束にして 捧げて空を晴らせてみたい
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柔らかな花をむしって後悔と共に散らして明日には忘れる
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感傷を晒すプライド 愛情は見せずにしまって腐らせる
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「六割の船員にげた船はどこ?」「海の底、だよ」開票所の猫
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“君でしか 出来ないことなど 何もない” 僕が欠けても 世界は、回る
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「月が」とか言わないで欲しいエピゴーネンいっそ真っ直ぐ「あなたが」と言え
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やられたな! わたしがずっとしたかったことを形にしたひとがいる
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生きてさえいればいいことあるはずと 信じ続けて 信じ続ける
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沈黙しじまからうまれる星の海があり記憶の中に海馬という人
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なるようになっていくのかスキンケアさぼった夜もその次の日も
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さみしくはないよいつでも歌うから広いお風呂で染み込むように
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「嫌いじゃない」ばかり言う人好きじゃない 堂々と言えよ好きなことくらい
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そうだとは知らずに外に出てふいに綺麗だねってああ十五夜だ
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ゴミ出しを忘れてたから心中の待ち合わせには少し遅れる
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私だけ私の世界の管理人単独勤務変形労働
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