一足ひとあしも君の世界に入れない そっちは土足で上がり込むのに
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「東京の夏を観に行く」と言ったきり スポーツの日が帰ってこない
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気だるさは十四の夏の後遺症 ずぶ濡れの靴に新聞を入れる
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桜いて春待つ理由を尋ねても 何にも言わずに立っているだけ
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手入れなど考えたこともない人の研ぎ澄まされた言葉のナイフ
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ハロウィンはケルトの年末なんですし日本人も休みましょうよ
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証言そのマイナス八はCDへ落ちた磁針が金切りながら
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「言わないで」その柔らかい唇に人差し指を添えられたなら
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上の句は なんか眠いって言ってます。下の句は ちょっと夏季休暇っすね。
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闊歩するオフィス金髪縦ロールもう見られないギャルの退職
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この仕事 誰の為にと自問して 迷うことなく答えられたら
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傷付けた人の名前を忘れない償えぬけどせめてこれだけ
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スタッカートスタッカートらら 傘一つ 雨が跳ねてる君のスカート
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授業中 素晴らしい短歌思いつく 休み時間には忘れてて 乙
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‪ファミレスもフードコートも消去法で選ぶ人だ(きっとわたしも)‬
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ストライプ柄の便箋に書かれた 文字から香るセロリの匂い
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‪新商品だったとアイス掲げる手また生かされてしまったようだ‬
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憎悪とて描けば巨匠歌えば時代 物語すれば伝説になる
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美化された思い出語るあの頃の知り合いに贈る軽蔑の笑み
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死に場所をお探しですか?片腕でよければお貸しできますけれど
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「私は見た。あなたが何をしてきたか。」――十人目の証言者証言10
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秋に乗り過去から未来にぐんぐんとぶらんこを漕ぐ風は涼やか
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風が「もう秋なんだよ」と囁いた センチメンタルの理由を知った
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玄関に寄せ植えされた花の苗まだよそよそしく距離を保って
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お互いに刺さったナイフを抜き合おう パッフェルベルのカノンの中で
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「何をした」? 僕のバットでこの苺 フルスイング、しただけですが?
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「焼き肉の匂いがしたら突撃だ」隊長がいう 部下が頷く
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繋がぬ手染めて薄暮の時走る 「またね」は願い すみれ色の血
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ともすれば孵り育っていたはずの燻製うずらはこんなに美味で
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イギリスに行ってみたいね我が犬に故郷遥かボーダーコリー
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