真っ黒な 子の靴洗い 穴気づく 目一杯遊んだ この夏を思う
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シュークリームいっきに5つ食べるゆえ逆三角形の男になれず
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たまにはねご褒美だよとワイルドな ステーキ食べる君の微笑み
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日傘差す 小春日和と言うよりも夏の名残りと言いたげな晴天そら
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定年無き職場で引き際 如何せん 年上ナースに まだまだ!と背叩かれ
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喜びも哀しみも吸ってこのスマホ余力まだありアップデートす
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やられても うれちゃってたら いえないし なんかいあっても ひがいしゃひとり
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鰯雲気になるのかな屋根の猫降りてきなさいホンモノあげる
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カチャカチャと 日焼け止めと 朱夏の日と どちらが先に 底着くだろう
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ぐと木に近寄れば鴉襲ふ 俺のもんだ渡さんぞと
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入梅にニュルンベルクに入定す入道の眼は柔和にくもる
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「あ」と言っているのだろうと後続のヤリスの口はチラ見て思う
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ズルズルと 新作ラーメン 啜りあげ これもひとつの 生きてく証
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ゆるゆると 羽衣重ねていくように 丁寧な暮らし 積み上げていく
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白鳥とアヒルの区別がつかない子 塾より先に動物園は?
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ベランダで小さなとかげ遭遇すのんびりな子で写真おさまる
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日が迫り旧友らとの再会に心がしぼむ老人性鬱
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「きみを愛している」借りものの言葉 愛しているも全て借りもの
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警察もサラリーマンも泥棒も同じ顔して座っている電車
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炭酸が 五臓の中で じんわりと 主張するから 生きてる痛み
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「たましいの重さは21グラムなんだって」「じゃあ試してみよう」
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ウクライナ ミサイル着弾冬の夜ごうの暗がり幼子をいだく母
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翁媼おうおうが赤い揃いのニット着て 紅葉そこだけ深み増す秋
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山行きのバス待つ間の一時ひとときを ごろりと歩道に仮寝と決める
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持病にて気遣い暮らす老いの身にコロナが誘ふ黄泉路の闇へ
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ひい孫は文月五日呱呱ここの声 日の出と共にふぐりも揺れる
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忍び逢うケンジ蛍の恋明かり すげの水面にキラリと映る
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結婚後 半年と1年とで 来た猫らよ 我が子でなくて何だというのか
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揚げ物をさせたがらぬ母 心配性 ノンフライヤーが結婚祝い>8年ほど前
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古里に一人残れる友のおんな居て色々届く庄内の味
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