潔白を噛みしめ痩せた手を握る牢獄にさえ雪は降るなり
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水色はあなたの好きな色だから季節はずれのマフラーを編む
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いちごとはあかりの中で食べるものハピバスデイ・トゥ・ミー・イン・ザ・ムーン
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生きていく糧へ広がる種探し あなたと共に みんなで共に
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君からの文をもらった雛祭り 一年後にももらえるならば
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喜びを日々少しずつ消費して生み出せないまま死ぬのだろうか
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何の為に時間を割いて生きてゆく見つけられないものすごく怖い
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漠然と不安を感じたあの人が結婚したら生きてられるか
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いい思い出が多すぎて孤独の香りが濃くなる春の訪れ
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母の腹の中の私へやめておけ春はお前を愛したりしない
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冬と春はどうして隣あうのだろう肩を並べる恐ろしいそれ
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冷たさの中ほのぬくい雨落ちてしとしと地に当たるひたひた
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音もなく降る雨さえ色づく心地きっと誰しも浮き足立って
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「左様なら」と「それじゃ」は同じことを指す どうして前者はかなしいのだろう
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ピンクより水色選ぶ女子でした かわい子ぶらない自分気取って
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祝辞中【卒業】とは、と考える さよならじゃねえ、またって言えよ
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陽の叩くいえない思いで駐車場記憶にのみ打つ柱時計
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孤独に還る傘の中、人は皆一人で生まれただ一人死ぬ
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最愛の推しが結婚する前に教えて次元の壁の超え方
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なんて気だるい昼下がり、窓際で踊るシーツとぬるいコーヒー
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一人では行動できないあの人に 怖がらなくてもいいよと言いたい
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北欧の空気みたいな公園は近所だけどいつも澄んでる
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「男性」の談義始まる だんだんと 男性たちで暖取りながら
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*子守唄歌ってくれたテノールは夢の中でも心落ち着く
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くちびるでなぞって消して流星が降ってきた日の日焼けの跡を
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さみどりの風を吹かせるストールをまとうあなたは弥生の扉
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幾度いくたびの行き逢ひ別れもありけれど 飽きこそあらね一期いちごの縁
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白雪や いかで否ばむ 日の影の思ひそむことなき露は冷ゆ
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いい加減独り歩きは飽きたでしょ、一緒に観音坂をのぼろう
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報われない君の嘆きはチグリジアみたいだ、今はただ抱きしめて
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