ストーブの前はあなたに譲るからそのままでいてここで息して
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大河みて秒で泣き顔スタンプを 母に送れり ロス甚はなはだ
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映画館 感情ばかり渦巻いて 初めて立った エンディング中
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わかったよわかった全部わかったよ大型犬になればいいのね
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休日を終わらせたくないこんな夜も 車窓に流れる人の「日常」
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わたしはたしかに寝たいのに身体が寝床へ向かってくれない夜
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赤ちょうちん友と道草一杯が二杯になりてほら男爵になる
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ささくれた心を埋めるため食べた、ボロネーゼは腹のみ満たした
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布団、部屋、家や世界で独りでも、きっと私は声殺し 泣く
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むすびづ かたきつぼみの張りぬれば 春の吹かせし風やとくらむ
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浅春に じゃがいも種イモ 土に埋め 芽吹く命を 楽しみに待つ
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その先に続くことばはみとめない最後のさようならにはしない
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知り合いの初出産の予定日は もう三日過ぎ雛の祭り日
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次々と初ウイルスの現れて 我が家の予定ぐちゃぐちゃになる
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「とりあえずこの日まで生きよう」を繰り返し繰り返し繰り返す日々
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新しい服もヘアカットカットもいつだって ほめてくれたね  嬉しかったな
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週末に掃除洗濯作り置き 米を小分けにポケットからジャズ
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命無き綿に想いを吐露しては、口無き友よ、涙を吸って
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尊きは 神の御霊の 影響を 受けて生きれば キリスト似たり
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これ以上 何を望むか 人生に 自分のことは 二の次にして
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物語、産み温めて孵化すより、育て看取るのが難しい
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どう楽に生きるかどうか模索した。糸のほつれに首をもたれて。
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どうしよう吐き出し時がわからない愚痴愚痴弱音呪詛呪詛怨嗟
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斎場の河津桜が満開のひなの節句に義弟旅立つ
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孫からの写真がLINEで来るはずと待ちくたびれて三月三日
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午後からは雪がしんしん降っていて明日の会議は休めなくって
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七十の手習いで始めし百歳のピアニストに勇気付けらる
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猫の砂包んで捨てる広告のフレッシャーズのスーツの笑顔
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何者かになりたいなんて十代で捨てておくべき夢じゃなかった?
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桃酒だけ今日はやめとこ その代わり さくらの甘酒ピンク愛らし
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