君と僕。ホウレン草のおひたしがこれほどうまい幸せにいる
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我が未来剥ぎ取るように飲むクスリ残り数えつ今朝も九つ
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わが猫らのおめめキラキラ輝いて オヤツのあとは ねんねのおへや
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マンションを 買いませんかと お電話が 「先立つものない」 ひとりぼやいた
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眠られぬ理由はきっと違うけどエアコン温度.5てんごど下げる
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ダンシングヒーロー踊る子らがいて櫓太鼓やぐらだいこはロックを刻む
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窓の外入道雲に誘われてぼくのからだにまだ海がいる
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握る手に熱を残して見送った最後の花火に今年もなったな
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「一生」を願う言葉をこの耳で 聞く日が来たらどんな心地か
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あ 笑ってる 赤い眼だけの大顔でバスはするりと消えてった
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探してる亡吾子に会えない蓮池に飽かず飛び交うオニヤンマとも
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ポケットの一円玉を紳士服売り場の服にそっと入れておく
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キッチンにいる君は歓声と花火の音が楽しいと言う
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イヤホンは気を遣って置いてきた 君は平気でノイズキャンセリング
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植え込みの間に蜘蛛の巣張られおり東京タワーが横たわっている
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「諦める」自分の取るべき行動を明らかにするそれが「あきらめ」
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蒸し暑い夜の田んぼの匂い嗅ぎ昔の祭りの記憶が還る
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エアコンのスイッチとめて今日だけは 原爆で逝くたましい思う
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かりにだに来ずや鶉はなかねども夏こそ繁れ深草の里
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洗い物洗濯物干しやっぱりね ひとり時間は家事から始まる
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そこそこに かぜがふくのよ レイソル市 遠雷 太鼓に 遠はなび
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映画行き人の多さに唖然あぜんとす さあ人々が夢の世界へ
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めずらしく父子おやこふたりで出かけてく ひとり時間だ何からしよか
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赤い糸が解けないと信じていたのは私だけだったみたい
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水でなく風に流して、いつかまたあなたの髪を揺らしに行くよ
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市議選の さいごのおねがい 選挙カー ぼんおどり練習 負けて退散 \レイソル市あした投票日
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本当ならもっとかろくやわらかく歩いていたんだろうね、あなた
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ここからは幕は閉じたり観る人も観られる人もそれぞれに行く
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明けていく昨日を葬り薄赤い彼は誰時かわたれどきをあなたと望む
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行く先は違うけれどまた交われる気がする 山手線の内回り・外回りで
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