慕い寄る 麗しさなく ぼんやりと 夕焼け眺め 老人の恋
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現実を 思い知らされ 絶句する 老いた姿を 誰も好まず
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文学をしたいんだけどいいっすか なんか立っててくれればいいし
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寝る前に日向を歩くと見る夢を覆うようにシャッター閉めた
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夏風を 切り裂く君の 後ろ髪 染まらないでよ このままずっと
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泣きながら玉ねぎ刻む 生活と両立可能な悲しみもある
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がんばって外れてみたら無視された散布図内の点の瞬き
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あなただけ 赤色灯の灯台へ続く波止場をゆっくり渡る
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われわれは風に傾く草木です 私はひとりホームへ降りる
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土曜日の昼から開ける発泡酒みたいな君を愛せるのなら
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きみがため獣が叫ぶ夜もありぼくは静かに暮らすのでした
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「好き」の温度調節さえ困難で 笑って誤魔化す君も私も
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抱えて眠るのはぬいぐるみでなく 私の中の幼い私
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藍色と灰色に溶け込んでゆく街の焦りを見逃すばかり
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街路樹が歩道に落とす影ばかり目で追っている五月の真夏日
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教室の窓に映りし僕の顔その上を叩く雨雨雨
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仏前の献花余って食卓に似合わぬ陶器ガーベラ五本
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母になり亡き母の気持ちよくわかる母って案外ずるしますよね
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二十九で冷房つけるこんな日だからこそこんな『はじめまして』だ
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この風とこの雨で咲く花がある今は光が見えなくたって
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しめやかにくちを重ねた 豪雨にて隔絶されたような小部屋で
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早緑は梅雨踏み越えて濃緑となる 若者よ負けんじゃねぇぞ
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この家に俺だけひとり遺されて 澄んでいたはずなのにな空は
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この海の美しきもの見逃さぬように歌集はゆっくりめくる
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筆入れの中に消しゴムだけがない忘れたいことばっかりなのに
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ひとつぶも上白糖のない家で離婚届は書かれています
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「回り道にも花は咲く。だからもうちょっとゆっくり歩きませんか」
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素直さという名の糸があったなら紡げたはずの愛の詩、夏
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楕円なるホットケーキもまんまるの愛情で作られているんだ
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マッチ擦るつかのまみゆるまなざしの純粋にしてまさをなるうみ
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