弱りたる金魚を最期は我が家でと三百円で持ち帰る夜
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彼の人の 奏でるこえは粒々と 天より注ぐ流星の如く
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しょうわくせい きてきょうりゅうは しんじゃった ばくはつとねつ ヒトは温暖化で
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本当はきみが狐で化かされているならいつか笑えるのにな
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お盆にはみんな帰ってきてたから黒く塗りつぶした絵日記
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ピッと鳴り エアコン温度 変更す 数分後には 元の木阿弥もとのもくあみ
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国道の真横の低層マンションや騒音排気気にならざりや
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おわらない なつとやすみが ほしかった 変化 衰退 ひとつのすくい
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低下する 身体能力 夜の秋。月をしたがえ 昭和の扇風 / 北の残暑
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バラバラに 転がる虫の死骸らも 輝かせるか 夏の太陽
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にんげんは 疲れて豚肉食べたくて 今夜は冷しゃぶ 明日は豚バラ
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立ち枯れし姿をさらす欅ありて散歩の犬と人の過ぎゆく
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七夕や 越さぬと決めた この川よ 空荷で渡る 上弦の月
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八月は蝉降る夜の真ん中に居ても立っても光速の雨
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鈍びた雲の下を 眞白な鳩が一羽 輪を描きながら飛んでゐる
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右耳の後ろに隠れたこのほくろわたし以外に誰が知ってる?
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単純な性格だからすごいねの一言だけで頑張れてしまう
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孫帰る 過ぎし九日 懐かしき 寂しさ残る 妻と二人で
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即席の  お味噌汁の具が少し  減ってる気がする ステルス値上げ?
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電気代  どれぐらいになるかしら?  命をつなぐ冷房だけれど
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前髪が  少しさみしくなってきて  何年ぶりか  分け目を変える
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そう君は何も考えなくていい、此処に樹の絵を描いてくれれば
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言語野がどちらに在るか知らないがきっと左だ 血の巡りくる
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猫カフェが人カフェとなる傍らでかまわず眠るきみの丸い背
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名にし負はば八塩の岡の薄紅葉時雨の染めむ末ぞゆかしき
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突然の 所持品検査職務質問 ビックリよ 事なき得るも 新宿怖い
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世話になどなってはおらぬと言う老母息子は怒りつも着信確かむ
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遠い街  弟が住むその街に  老母とともに訪ねていく
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顔についたホコリ取る時 ねこ可愛い 「よきにはからえ、くるしゅうないぞ」顔
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過去未来 常世現世 境界をぼかしてゆくは盆の陽炎
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