独り身で過ごす父親切なくて あちらこちらに淋しい破片
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実家にてたったひとりの夜過ごす 祖母と母さん遺影で微笑ほほえむ
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この場所が巨頭オだったぼくたちは肥大し過ぎた頭を撫ぜた
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「はーるよこい」日差し眩きフェアウェイに集う笑顔は終なる友ら
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右頬に一発もらい目を開ければ土踏まずの無いあんよがスヤスヤ
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鳥は舞い 風立ち 花は艶やかに 言祝ぎし夜を ひとりかも寝む
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どっこいしょ はぁどっこいしょお どっこいしょ 妙に笑える お疲れモード
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ホワイトデー ビール六缶つまみ添え 夫は私を熟知しており
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なんらかを去るときいつも祝われていたかったので卒業とよぶ
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図書館の 本しか読む気 無いくせに 何十冊も 積読増やす
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ダノンビオ 冬限定の柚子みかん 最後の一個 惜しみ味わう
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終日の虚ろの前に現れた、食べ忘れのプリンが光る
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地に届く刹那に消えゆく淡雪の春の証も天からの文
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恋破れた死にたがりが吠える。夜は今日も騒がしくって、またアプリ消す。
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青空の 薄れた青に筆を足し 記憶に残る春を演出  
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花粉症のせいにして 空を見上げて 目をこする 番号ぼやけるわが子の合格
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あたたかいやわらかいやさしいものはみんなこわくてみんないとしい
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うららかな 陽射しがダウンに 集まりて そそくさと脱ぎ 弥生も半ば
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沈黙し 引き出しの中 出番待つ 忘れ去られし 丸い消しゴム
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知らせなくてもいい 波は、砕けずに、過ぎてしまった子供たちへと
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如月の駅の8番出口ならムーンサイドはきっと目の前
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どん底のハートの日ほど美しい 目ん玉に残る星をみつける
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年老いて未だ気づかぬ愚かさよ 自称短歌のプロパガンダ
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財政が苦しいからと増税し 無駄な事業に金流し込む
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権力と馴れ合うばかりのマスコミは 再び民を戦へ導く
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悪行を国益に擬して行えば 天の裁きが来るを待つべし
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せびれから抜けるような 三月の晴れの日のようなあなたの「おはよう」
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串刺しの 無様な生き血の 滴るを 耐えてみせども 見る人はなし
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お上がりの息子のシャツ来て鏡見る「若返ったわよ!」にニタッと笑う
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あと一行 ここまでやったら帰ろうと 言いつつ いま もう七行目
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