「魂を流すんだったらここがいい」― 月光耀かがやく用水路指し
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盗まれた自転車が吐く溜息で深井戸水に落ちる 満月
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ベランダを発った満月彼方へと 首捥月くびもぎづきと名付けてあおぐ
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独房に破れかぶれの二時が這い ココアシガレットさらさらになる
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氷片の玉虫色の断面が 等しく刷られ叫ぶ〈脱却ダッキャク
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ネジ拾う機械は動く変わらずに ねじ切りだった母たちは
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人間が嫌いな僕に好かれてる君は宇宙人、火星生まれの
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遠雷に瞼を閉ざすかなしみに岸のあることわすれて 来てよ
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「きみ、僕に詠まれている自覚ある?」誰とも知れぬひとが詠む私
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姜しい羌しい恙しい「うつくしい」だけ思いだせない
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深窓の令嬢が誘う五月雨さみだれにトンネルを往く巡回文庫
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わたしだって普通になりたかったけど無理だからなんとなく生きるよ
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恋人が作ってくれた常備菜おなかすいて一度で食べきる
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ブックカバーお掛けしますねと30ページで折り返す 栞の代わり
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一色の空に映える満月で積んだファイトをOKってことにして
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雨の中傘をささずに歩いても可哀想には見えない私
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めでたさも中ぐらいだと一茶言い少しもめでたくない誕生日過ぎた
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幸せにできないけれどそばにいて 涼しくなった夕暮れの風
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あなたに ただわたしを のこしたく 選んだ香りは ジャスミンの花
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アオハルを鼻で笑ってぶつけあう缶ビールこそ青春だった
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炎天のごと容赦なくわれを焼くきみのやさしさ正しさ強さ
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ショートケーキのイチゴから腐らせるみたいな生き方しかできない
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木葉屑草壁若葉花いきれ 牛迷宮に学生帽は燃えつきにけり
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遺骸数多納められてある地下納骨堂に続く青年の奥処を燈れる錫の世紀は
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おろしたてのノートのような涼しさに 寂しさ混ぜて出来上がる秋
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進めない今日も明日もその次も ただ緩やかに後退していく
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青い鳥 君の言葉は夢に出る 私の中で響いて混ざる
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夏空の夜半吹く風すこしずつ向かう秋へと衣を替える
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22時ラーメン食べる?のメッセージ22歳乙女らの青春
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眼鏡かけ分厚い辞書を飲み込めば神になれると疑わぬ子供
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