窓際の蚊取り線香いま落ちて漂う夏に蝉がさざめく
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幾重にも列なる波紋を泳ぐ鯉のぽっかりとひらいた柔和な口元
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制服とすれ違う道 あの夏の御霊は今もここに眠りて
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肉厚に葉っぱが膨らむ朝顔の一つしかない蕾をみてる
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消えたいと思う気持ちに人魚姫が可哀相とか思わなくなった
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病める日の知人気取りの呼び声に 背を向け流す音のモルヒネ
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デスクでは見せぬ横顔ガラス越し 癖毛と眼鏡焦げたマルボロ
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ちょっとなぜ私ばかりと燃え上がる炎先ほさきしゃくにもかんにもさわ
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プロフィール ただの一言memento moriと書いておきたい夜もある
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一もなくその四半すら最早なく何も残らぬ抜け殻ひとつ
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空蝉よ ぼくたちの死を悼んでくれよ カナカナカナシイ ミーンナカナシイ
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たましひの飢ゑかわくゆゑぬばたまのクロイツェルソナタくりかへし聴く
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五歳児かドンキーホーテで自分より前の世代のレトロ(ゲーム)で戯れ
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帰り道目の前横切る少年はサッカーボール片手に走る
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気になって蛹を背から切り開く ほら夏という夏がもつれる
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おかっぱの少女ら突如一斉にななめになるような熱帯夜
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トカゲ見て青か茶色か見定めて「今日も焦げ色・・・」中吉かな
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雨の音よりも先に雨の匂いそこから感じる夕立の夏
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アートとは生み出すこと見つけたりわかってくれと教授にいうが
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クレヨンで描いた黒い気持ちなら水彩の言葉弾くよはじく
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静けさが心地いいのと言うあなた私はあくびの午前2時半
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いつだってあなたと居れば 記念日にサラダなんてなくてもいいの
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恋愛は水耕栽培 肥料なし 消費期限は気づいたらすぐ 
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待ってろよ 今すぐお前のとこに行く 夢で逢えたら、なんて言うなよ
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生まれ変わる方法未だ見つからず 資源ごみにもなれない僕ら
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醜悪な肉で得られる肩凝りがそんなに羨ましいか雌共
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貰えたと喜び勇むこともなくひとり静かに路を往く人よ
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ぼくたちはスーパーマンにはなれなくて何者でもなくそれでも生きて
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燃えるゴミ 捨てそこねてる間にも 還れ土へと呼ばわれており
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アンダンテ・ソステヌートできかせてよこの世をのがれるための呪文を
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