故郷より流行り病の報せあり閉じ籠もりきりひとり聴く鐘
11
入院で買つたコードは長すぎて絡まるけれどいつかほどける
11
日本酒をこんな時ほどかっ喰らい腹の中から除菌殺菌
7
子がつらい時ほど父は馬鹿をするパッチ・アダムスごとく笑わせ
9
ミニマムな極地を洒落た空間で髪切る音の虚無の静けさ
9
どうしても 食べたい欲に 耐えかねて 肉じゃが作る ホクホクを待つ
19
将来なんて何も見えやしないけど 君が笑えば 僕も笑える
11
三月に 彼の机へ 「好きだよ」を そっと閉じ込めた 僕はずるいから
8
みずうみに揺れるふねから手を振ったなみに消えゆくみかづきのふね
12
鍋の音 早く帰ってこないかな 二者のテンポは アッチェレランド
5
なにしようか考えてたらもう夜 ただ気だるさに身を任せて
13
シャトルシェフ 本年仕事納めなる 有りものキャベツスープ ミルクあじ
16
一瞬にざわざわの波のみ込まれ 手足冷たく猫に救わる
19
「ふてほど」の連続放送中学だったあの頃の自分思い出す
9
古守り 洗礼受けたる 我が身には 不要なるもの 晦日も返し行く
12
コーヒーを生まれて初めてブラックで‥ 飲む勇気なく牛乳いれる
16
丁寧に潰されてなお主張する苺の芯のような思春期
12
十八になったらしたい夢がある 投票行って外食するの
12
もう一生叶わない恋だけをして まだ追いつけないキャロットケーキ
6
近頃は非常にだとか大変は使わなくなりめちゃかめっちゃに
11
来世では一〇年はやく生まれるよ だからわたしと先に出逢って!
7
歳末に 古守り返す 大師前 初詣備える 露天屋見つつ
10
テレビ見て 笑っていたのも 過去の話 フジも松も 同じなかとは
6
木枯らしを 結んだような おにぎりと とん汁ひとつ ひとりも幸せ
13
ねこたちに つきまとわれつつ 小掃除を終えて お昼は一本満足バーチョコレートバー(ぐったり)
16
処置終えて帰宅の深夜 レンチンの焼きそば食みて安堵の夕餉
26
近隣の夜間救急全滅も 夫を救うはいつもの病院 /感謝感謝
19
もうとうに 期限が切れた老人は 朝昼晩に期限切れ喰う
8
こちら側のどこからでも切れんから俺は嫌いだお前のことが
8
痛いのは 生きてる証と教えられ そう思えどもやっぱり痛い
12