大輪のダリアが見下ろすチビ助の私はいつでもちんちくりんだ
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夜に駆けこころをしたため春死なむ東尋坊でひとり心中
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冷蔵庫 毎日覗くはずなのに 今日も使わぬ粒マスタード
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なけなしと言われる「それ」を感じれば 心の隅の体温が上がる
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臥し仰ぐ 窓の向こうの青い空 ちいちゃい雲に 手で触れたくて
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一人でもパーティー開けをしたならばそこはパーティー会場なんだよ
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UFOとウィンナー塩豚ポテトチップこれで完成最終兵器
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灯台の裏の暗いアパートで初めて見ましたあなたのちくわ
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英国の紳士がさらった純白の花嫁あなたの最愛の人
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ジョッキをね持つ手がこうしてひっくり返るそうなってくるともうダメなの
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暗室の虜になった冒険の貴女いまは恍惚の人となりにけり
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プーチンの顔は怖いよ私よりいやいやいい勝負だよお母さん
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月影の歌は死者を弔うか遺されたものだけが音程を外す
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メェいちゃぁんと呼ぶキタバヤシタニエの名演技トトロよりトトロな貴女に会いたい
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さあ知らない。知らんけどほど冷たくない関西人の標準語
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そんなこと思っていたとはつゆ知らずあなたの前でパンツ一丁
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今生の別れのような顔で朝見送りをするポチのルーティン
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しゅわしゅわとソーダみたいに思い出の泡が溢れて息ができない
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口の端でくゆらす朝の残り香に澱んで恋と見紛うひかり
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丸善は檸檬を置きに行くところとだけ学んだ十代の秋
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黒い蝶秋の味する蜜を吸う爽やかな朝は身に辛かろう
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秋めくは虫の泣き入む雨ポツリ共に跳ねれど順々来たる
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ヘリコプター夜空に舞えば一晩に一つ星座巡る旅する
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添削の赤ペン盗んできたよ、もう血で咲くはなまるなんて捨てろよ
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本当のきみが考えてることはブルーライトに濾されて消える
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走馬灯過る一齣青雲の田村ゆかりに似てる白猫
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見上げればどの青空にも涙扁桃体の蛇口壊れて
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黄金色きんいろの雨野の中のピアノにはドが弾きたかった葉っぱが流れ
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走るほど置いていかれているようで止まれないまま逸る心臓
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あまりにも人と世界が多すぎてすうっと消したくなることもある
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