秋空の青と物干し竿の青どちらが青いか比べて背伸び
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サークルのトレーナー君に着せた日と同じ寒さの鴨川の秋
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想像していたよりもずっと透明な裸足 花というより焼き物の白
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故郷より星は確かに遠ざかり血潮の音に波見る目蓋
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社会という大海原の真ん中で逃げるためには波風がいる
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飯眠り運動仕事タバコ付き どこにエモさがあるというんだ
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あの空気が好きだっただけ だって俺タバコ吸えないし酒飲めないし
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まだ痛む1.2ミリの致命傷きみはとどめをさしてくれない
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私たち魚に生まれ変わっても海に溺れる魚になりそう
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夜の秋こんな気持ちはもういいよ青の侵攻、脈打つ米噛み
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真っ白な スケジュール表 ああ今は 夢見ることすら 許されないのか
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すれ違う男女が遠い。地球外生命体だ、私はきっと。
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なおらない寝癖を冴えたアンテナにして聞く弾む秋の足音
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水羊羹 青年の顔 赤くして食べぬ
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シナモンのかおる朝にも限界があるって知った 一日二錠
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泣きながら別れを告げる君の声 それを支えるスマホスタンド
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山上のやしろを照らす月光は吾の子どもの心の子守唄ララバイ
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ねたふりをしている耳にかぜの音われの内なるこどもふるはす
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死は作品ではないはずだ文字列で存在をかき消してから死ね
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秋の夜はますます深く街を抱き あなたも眠る 短い夢と
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ぼくたちの出番だ空でほのぼのと秋の行進するひつじ雲
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駄菓子屋はモラトリアムを見捨ててくきみは夏など振り向きはしない
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此岸から見えぬ彼岸の想い人ふと追憶の君の声かな
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なんかもう在宅と株とマンションで雑に稼いで猫と生きたい
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朧月夜に 怪盗二十面相の 影が映るよ
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弁当のレギュラー会議の時間です。(フキは覚悟を決めていました)
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下腹部を研いだ刃で貫かれ 「溺死する前に抜いて下さる?」
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直立も出来ない程の酔の果て 朝はまた来る仕事に行こう
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すりきれてすりきれて干割れた自信せめて自分に赦されたいよ
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本体はここではなくて文字列の間にあると言い切れるなら
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