蓋開く。鍋の中には死んだ草 僕の心も開いてみてよ
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逃げ出して細い夜空に白い息 妻友人との飲み会から
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一人だけ抜け出してきてネオン空 狭い個室が息苦しくて
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彼ならばできたのだろうか子作りも 二人が載ってるスタッフロール
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八重桜見ると記憶の蓋開く 「桜はバラ科」図鑑で読んだ
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僕とでは創作すらも無理なのに 子供がほしい、と君は言うよ
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どうしてさ僕よりずっと楽しそう そっちのロン毛ばかりを向いて
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雨降りてソメイヨシノが去りしのち 鬱金桜ウコンザクラの緑輝く
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寄せては返す情報の渚には ただ無意味の月が映っていた
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五時間目までに生理が終わったらいくらでも走ってやるのにな
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この駅はこんなに複雑だったっけ? 素人喰らう迷宮と化して
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無愛想だねと言われるのに何故か やたらと人に道を聞かれる
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アルバムを 開いてみれば 遠い日々 今は感謝の 義父の命日
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いつの世も人の苦悩は如何ばかり 曼荼羅で説く仏の救い /「空海」展
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張り裂けそうな声たちに 誰かがそっとマイクを渡す
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ねこちゃんにふみふみされて着てた服ふわふわ色へ染められてにこ
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プラネタリウム天の川の時間の大きさフードコートのスンドゥブに溶け込んで
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満面の笑みでほおばるハンバーグ 「今日はいい日。」とつぶやく息子
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薄れてく あの子の声と 恋心 刺激が無くて 歌が詠めない
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日曜日 貴重な休みが刻々と 儚く無情に過ぎ去っていく
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保存水賞味期限が近づいて感謝して飲む事なき五年に
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この曲を聴いてはならぬ幸せな貴方との日々吾を苦しめる
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春風に 乗って来る匂い 旨そうな 匂いにつられ 腹は鳴る成り
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あをによし 國内くぬちを過ぎてゆく春の 靑葉あをばを吹きて風のかをらむ
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三本の冠動脈に四つ目のステントるや七十二歳ななじゅうに、春/連休明けに予定
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「行きたくない」放り出される朝7時。はめるイヤフォン、ユートピア行き
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夢残滓 薄れる霧を 掴まんとす 空切る思考 神のまにまに
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本当にやりたいことが何もなくてくだらないことをし続けてしまう
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当たらないiPhoneの予報言い訳に 何処も出かけずミルクバリュー
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賞味期限間近のクッキー やっと食む 温存し過ぎて日付が過ぎる
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