先生はあなたのためと言う割に覚える気がない私の名字
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恥ずかしいことではないと微笑まれそれが恥ずべきことと知るとき
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きみのこと歌に詠むたび恋の語彙増えてまたヒト好きになってく
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穏やかな海には船を浮かべよう 慣れた頬には傾いた笑み
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毎日あなたに付き合おうって言う いいよって言えよな 馬鹿野郎
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とってもね ちっさな善意でも 構わない ひっそりコツコツ 徳を積んでく
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きっとどこかで足を踏み外しなんにもなくてなにかが違う
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「シャンプーした?」短歌うた考えてて覚えてない 念のためも一度洗っておいた
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ケンタッキー「いらっしゃいませ」のその場所に 注文パッドでんと鎮座ちんざ
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明日あす出勤あふれ出しそな疲れでも コップの水は八分目ぐらいに
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私と子のみで焼肉食べに行く店員さんは少し優しい
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死ぬまでの時間稼ぎで生きている あしたはどんな本を読もうか
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あほなのでセールはじまる前日に一万円の買い物をした
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もう酒を買えるほどにはジャラ銭が預金されてる洗濯機のした
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親指のへりがだんだん腫れていてあれは剥がすべきではなかった
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同じ師に教わったけど彼女とは違う字を書く頑固な右手
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ふるさとの明日香の川の夕時雨濡れてや今日も萩の散るらむ
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わたくしの お墓に乗って いつの日か あなたが衛星ほしを 見れたらいいのに
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海原を知らぬイルカは俺様の美技に酔いなとラッセンのように
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夕刻の東の空の満月はあの子の眼にも似て円ら
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白きなか 靴音響かせ ゆうらりと 君があらわれ 去ってゆく夢
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気だるげな きみの寝癖は 上にのび 誰より元気に そこに居たんだ
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新人に そっと教える 処世術 「出来る人」に見せるとつらいよ
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オーマイガー!オータム・サクラモチ イズ ヒア!アイ ラブ サクラモチ!アンド・ユー?
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風すさぶ 雨降りしきる 雷落つ ここぞとばかりに CD爆音
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「ねえてかさ、そのアイシャドウかわいくね、恋じゃん」君の方が恋だよ
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デカルコマニー 火蜥蜴を貪り 断頭台の悪魔が嗤う
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カラス群れ 犬は遠吠え その後に…… 人間たちが忘れた言葉
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振りきらぬまま 最後と信じて ひと踏ん張り 足元邪魔する 後悔無視して
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級友の 使いし駅で 降りたりし 彼の面影 秋に偲びて
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