薔薇窓をキュクロプスは抱きその脆き花束をそっと墓に供えた
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診察所 旧姓呼ばれて返事する 二つの名を持つ私は誰だ
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曇天の 暗い明るさ 春冷えの コーヒー飲む?と 君起こす朝
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風を抱きあるいは離すカーテンの中で影絵は影絵のままで
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狂おしい問いのごとくに風は吹き答えを抱えて去ってしまった
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神様になれないだけだ 無数の夜の中でここだけが光る可惜夜
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弾き方を忘れたようにドの音を何度もなんども押すピアニスト
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凍りついたギターで奏でるアルペジオの心肺蘇生のごとき逞しさ
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食べものとしての林檎に奇術師は矢を射りあらたな意味を加えた
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海を恋い魚を恋うてぼろぼろと涙の代わりに化石をこぼす
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焼鳥のたれの激しく煮つまってわたしをここから出してください
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狂瀾の中で手を取るふたりにはただ離別だけ恐ろしかった
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【ご報告】【ご報告】【ご報告】【嘘】【ご報告】【実は本当】【嘘】
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今日4月1日だ 分かってるけど【ご報告】とか真面目に見ちゃう
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きみの書く〝形〟って字の左側 鳥居に見えてなんか好きなの
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まるまって直立不動でうつぶせで これはどういうシステムですか?・
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白と黒 境界なぞる指先に嫌がる君の愛しい丸顔
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今ひとつ舞った桜と引き換えに この涙達散って行け春
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祝祭の中で死ぬなら本望、か がれに西空の挂紅クアホン
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落ちそうなヤジロベーだけ知っているフーコーの持つ秘密の小部屋
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目に映るこの世界だけが本物だ視力検査両目Dだけど
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補って生きていこうって言ったじゃん待って階段先に降りないで
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ゴミ袋 カラスがつつく骨一つ 想いも食まれ消化されれば
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土産にと持ちかえられたモンブラン 胃にもたれても 甘い幸せ
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冬だから骨になるにはしばらくかかる 抱かれて眠る 森の血管
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いつの日か 君を見ないと 思うけど それでもいいよ 君に会えたら
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雪が降る エイプリルフールと 思いきや 桜満開 山は真っ白
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聞き役を 買ってでましょう あなたなら こんな私で よかったらならば
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お互いの 辛い気持ちを 伝えても 助けることも できはしないが
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あなたとは 通りすがりに 居合わせた 待合室の 隣の席で
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