ウィルスと大地の揺れは常なれど ミサイルだけは人の業なり
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満開の下で 九〇歳のばあさまを撮る 屈託のない笑顔がこぼれる
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かけちがえたボタンのままで町に出て気づいてくれた人に恋をする
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ゆっくりと三面鏡を閉じるときかすかに鯨の鳴く声がする
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戦争のことをおしえて爆弾が落ちてきて皆砂天ぷらさ
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くりぃむの やさしきあまさに ほっとする 苦味すら忘れる ウインナーオレ
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買い物を するわけでは ないけれど 欲しいクレカは 買い物検定一級
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ほしいいらないほしい特には我が耳追うは赤子の泣き声春
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くぃむやふぁやふぁは心が安心て意味刻む皺見つつ聞く
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車はいけません腹圧がかかるからと聞く直後のくしゃみ
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おちてゆくにぎった指の柔さ温さをつれて闇おちておちゆく
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三分で食べられる地獄ございます新商品ですお試しください
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善悪を 学びて生きる 経験を 賜りたるや 知恵の深さよ
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刻まれた 記憶のままに 裁かれて 永遠なる命 欲して止まず
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一生は 春夏秋冬 一年の 過ぎ行くように 消えてなくなり
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若くとも 話をすれば わかり合い 老いて理解に 苦しむ人も
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老人を 眺めていつか 自らの 姿を映す 鏡の如く
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一生は 長く短く 続けども 人は心を 現わして行く
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現実を 受け入れてほど 成長し 夢から醒めて 真に生まれる
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卑怯にも 姑息に逃げる ことばかり 嫌だ嫌だは 幼き徴
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覚悟して 辛き定めを 引き受けて 文句言うまじ 逆らうなかれ
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老いぼれた 人に手向ける 言葉なく 朽ちてゆくまま 口をつぐみて
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もう何処も行けない僕は靴下を一足買ってすこし微笑む
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アスファルトをかすめてみればはらはらと唯はらはらとサクラ侵食す
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つまさきは波打ち際に気づいてもかかとはいまだ海を知らない
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ありとある不幸に草冠をつけ光合成をさせてあげたい
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肉体の無惨は愛をむしろ拒みがさがさの手でペニスを握る
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かなしみを押し出すように読みかけの本から栞をすっと引き抜く
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檸檬のごとく膨らんだ風船がキスするように鈍い光に触れる
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玉ねぎを鍋に加えよ クミンシードがふつふつ怒りを抑えているうちに
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