わたしたち棘にまみれてお互いの距離を知るため刺し合うのかな
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血を巡るよりも確かな脈打ちをあなたの言葉に見いだせて朝
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幸せに なりたくて漕いで きた船は 誰かの波に 煽られ沈む
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満月に 願いを込めて 我が友よ 病に負けず いつも笑顔で
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5時間目皆寝ている現代文 私が寝ればビンゴのようだ
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けふの月 雲に隠れて 光差す 過ぎた月日は 戻らぬあかし
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ねむくって ねこたちよりそい まっている おかあちゃんの ねんねのお支度
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もう一度、おいでよ睡魔。今度こそ素直に聞いて眠るからさ
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きみの声空気を変える魔法だね「おはよう」だって愛のコトバだ
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割れた茶碗 気落ちしたのち 決意する「次は付喪神を宿すまで!」
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今までは 焼きもち焼いて待っていた 手を離れたら 嫉妬しかない
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スキャニング、スライスされた肉片が我が存在証明アリバイをネットに残し
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野良猫の 両目の上に 星二つ 「麻呂」と名付けた… 野良でも可愛い🐱
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あの頃の私へ 見てる? 憧れの街でこんなにお金がないよ
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覚えてる 夏の日君の手が水を通って歪んだ あと振られた
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ときごこち良い櫛に撫でられても キミの「お疲れさま」には足りない
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下校する二人の児童歌いつつ 素敵なハモりに思わず拍手
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面会の兄との会話にあれる齟齬ロビーの陽だまり笑顔が似合う
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安売りのきのこ2パック切りまして 鶏モモ・カンタン酢にて照り照り
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朝ぼらけらずの雨を祈りつつ澄ました顔でコーヒーを
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ほんとうはだれがあの子をころしたの?「それはお前」と鏡がわらう
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なんだっけあの野菜ほら、みどりのさ、ロールキャベツに巻いてあるやつ
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ぴぴーって改札前で止まる人 許せるだけの余裕が欲しい
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白鍵だけ翔んであるいてゆくような横断歩道笑うランドセル
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酒は飲め飲め飲むならば 自力で立って歩いて終電までに
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「2か月で、何か変わったことはある?」 「使った皿は水につけてる」
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新緑の 若葉の匂い 嗅ぎながら うたた寝する 休日の午後
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あの人が4つに割ると言ってからキットカットはそうして食べる
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やさぐれた 心の裏腹 けふ肥へて やめたやめたや 明日の恨みなら
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もう二度と動き出すことのないもの動き出す 度のあわないメガネ
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