彼岸入り昨日きぞの売り場に〈牡丹餅〉の多く並びし光景なども
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初めてのワンマン列車にあたふたす 笑ってくれるな一人の遠足
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いつからか朝焼けを憎むようになり 眠れぬ夜に孤独は叫ぶ
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希死念慮 行き着く先は 星の海 月の舟乗れず ただ外を見て
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風邪薬 服して寝よう はや6時。 医者のくすりは飲まず棄て置き。
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人間のお医者は患者をちらっと見る犬のお医者は優しく触る
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義母の古稀 子孫こまご一同集まれり 笑顔満開 春呼び込みて
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店員の笑顔が君に似てたから遠くの君を思い出したよ
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無理やりに電気を消したせいだろう布団コスモでただよう自己否定スペースダスト
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デパートにスペイン語話者が一人いる 日本語圏のデパートに一人
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何一つ良いところなんてないけれどなめらかなのでゆるしてほしい
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等身大の吐露 真ん中は空洞のまま
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胸のときめきってストレスなんだって。 春に沈むマゾヒズム
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生き急ぐようにつぼみは膨らんで 薄紅色の笑みを覗かせ
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言葉にはならない澱がざわめいた 春の気配の疼く夜には
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なぜ詠むと 詠まない人に 問われても そういうふうに 生まれついたからとしか
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歌を詠む歌にはならぬことばかり しかし歌詠むまた歌を詠む
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小さじ半 ほんのちょっとの エッセンス そういものに 私はなりたい
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君ならば きっとできると 言ってほしい あなたの言葉を 待ってる真夜中
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失敗は素敵な人になる為のドレスコードと聞いて着飾る
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こいつはダメあいつもダメと 思っている自分が一番気持ち悪い
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暖かい 同じ温度も 涼しくて 言葉変わると 季節が変わる
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百倍の文字量だって読めそうだ 本で出くわす宣伝の紙
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虚無の瀬を渡りて壁に当たりしも光条求め歩み続ける
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私以外に知らせないでね 君の手が案外煙草くさいってこと
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隣街訪えば積雪0と聞き 尺余の雪積む町へと帰る
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耳鳴りを 働き蜂のさざめきを 雲はあなたに語りかけない
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言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
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ひきこもり それでもたまに 人と会い 陽のキャーから 元気をもらう
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鼻水が 止まらないんだ それでもね これは鼻炎と 言い続けるよ
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