虚無の瀬を渡りて壁に当たりしも光条求め歩み続ける
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私以外に知らせないでね 君の手が案外煙草くさいってこと
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隣街訪えば積雪0と聞き 尺余の雪積む町へと帰る
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耳鳴りを 働き蜂のさざめきを 雲はあなたに語りかけない
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言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
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ひきこもり それでもたまに 人と会い 陽のキャーから 元気をもらう
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鼻水が 止まらないんだ それでもね これは鼻炎と 言い続けるよ
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好きだった 君が結婚 僕は今 心が泣いた でも…おめでとう
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この胸にふたたび灯るほのをのみ抱いて深まる靄に踏み出し
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革靴のかかとに遺る年輪に父の百万時間を見つける
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愛さえも市場原理に晒された地獄の端で君を見つけた
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小さな背 語りきれない 時間のせ 言葉少なに 残すは本音
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ワイパーが時刻む重い沈黙一人娘父の介護へと
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頼ればいい 人には自由に いうけれど 我が身になると 申し訳ない
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ひまわりの笑顔はどこかうつむいて わたしはきみの太陽になれない
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君の手を離すことなどしたくなかった 雪原に落ちたしずくの正体
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あんなにも月が丸い夜だから猫が笑って それから暗転
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揺さぶられ裏切られ迎合し執着しそしてゆるやかに死ぬ精神
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あの人のためにおぼえたコーヒーの淹れ方も味も忘れられない
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叫びたくなる夜のためあらかじめフォークで月を抉っておいて
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ほんとうはあらゆるタテマエを抜きにして ただ好きなひとに好かれたいだけ
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どうせなら早めに死ねばよかったと 醜く生きた ワンルームひとり
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理性とか常識とかを脱ぎ散らしさらわれるには良い月夜です
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またすぐに行ってしまわれるんですね わたしが春を愛していても
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疲れた身を委ねる電車の窓に映ゆ見慣れぬ都会まちの夕焼け沁みて
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春のの え渡りてはすがの根の 長雨ながめれてけぶ羣山むらやま
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最高級のブランド真ダコ肉厚に超がついてる食べたい今よ
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球拾いからをやらせてもらいますまだベテランじゃない古希がまた
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冬の、冷たい鼻先をこすりつけ合いながらするキスが優勝
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粗熱を取ってるご飯を持って出て冷めたらいっしょに戻ってきなさい
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