小さき手小さきぬくもり携えて 新入生は校門くぐる
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散歩して見つけた小道の金柑は 風と一緒に鈴の音させ
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眠れない夜の向こうに銀河あり 静かに歩こう銀の欠片を
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感情の季語は四季折々 貴方の名前が良いのです
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晴れ空に ひとひらでいいと 願ったが 鈍色にびいろの空 花びらが満つ
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ほてりつつ 君より先に 自販機の コーヒー牛乳 コトンと落ちる
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工場が できてから消えた 桜の 並木までずっと 自転車でゆく
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遠距離も 慣れたつもりが 毎夜問う どうして隣に きみはいないの
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草の根を掻き分け通る春風が 私に変化を突きつける
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逃げ水のような「終末」 灼熱の路は地平を越えて続くが
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花、花が、好きです。あれは人間を、優しくさせるひとつの方法。
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雪が溶け 地面が顔を 出した時 すでにみどりで 生命せいめい感じ
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運命はないがあなたはそこにいてこれの名前は奇跡だとする
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ラジオから流れるエレカシ聞きながら歯医者さんに抜歯されてた日
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春の陽に浮かぶ幻すり抜けて貴方のよすがに私はなれない
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赤い糸信じてないと君は言うでも私にはそれが見えるよ
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関係ない我まで肩の荷が降りる 待ちに焦がれた一発が出て(翔平)
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その猫はミス・リバティと戯れている海軍が着くまで持てよ
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花の色は移りにけりな 墨染の袖ぬらす露 憂き世鳥辺野
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急に来た春の息吹と陽光をグレーで包む曇天の午後
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諦観の 終いに待つのは 微笑みよ お前が囁く 常夜灯の下
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花の名を胡蝶となりて千一夜 君が枕に書きつけをはる
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好き、という切符を握りしめている 汗で滲んで行き先不明
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戯れに手折らる花は夢枕 まほしき君をうづめるしとね
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おかあちゃん ねんねしないの ねようよう ちま猫ちゃんは はしゃいでねむい
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開かれぬままに私をあたためる本 木曜にだけ会う君がそれ
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予定外の予定に弱い我だけど よく頑張った お疲れ!自分
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見晴るかす野をしろしめす君なれば 手折りし花の色も知らずや
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頑張った自分へビールひと缶空けたので今日はもう終わりです
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「感情のままに動いたことはある?」ふたが固くて開けられぬジャム
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