Tシャツの穴が日に日に増えていく ねこの伸びすぎおつめを切らんと
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人はみな他の生を受けて生きてゐる 野菜も生きもの牛豚鶏も
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秋空にしばしば聴くは画眉鳥のキヨコ二十一キヨコ二十一と  
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電柱の天辺に止まる鳶一羽 首を左右に何かを狙う
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カツ丼が食いたくなって自供したでも出なかった訴えてやる!
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きらきらと 朝陽差し込む キッチンで あなたのコーヒー 淹れるしあわせ
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右腕のしびれを探るレントゲン加齢に依るとドクトルのたまわ
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秋が来て薄すら色付く庭の柿 撫でたいけれど眺めて待とう
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お手軽にダウンロードをするように愛嬌だって身につけられたら
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二ヶ月に一度の通院つつがなく二ヶ月伸びる健康寿命
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災いは 仲間を連れてやってくる 実父入院 義父も入院
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冷静に指紋を消して血を拭いてあとは凶器とホトケの始末
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今日もまた元気に走る山手線 人を食らって人を排泄す
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理解して欲しい願いはビルのドア開けた途端に吹き飛ばされて
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在りもしない錠剤を求めて漁るこの醜さ できることなら早く死にたい
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名も知れず覚えて聞けばトゥットゥルトゥー しづこころなく風は吹きけり
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ひとりでも頑張っているぼくやきみを誰か見ているきっと見ている
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池に秋の雲映り波紋と共に広がる 波立つ水面に心揺れ動く
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黄金色映える秋空に 散りゆく金木犀静かに香る
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感情があるのは仕方ないとして、それで動かれては困るのだ
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どう見てもあなたの方が強いのに「怖い」と言って殺すのですね
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一日いちにちも 一週間も 早すぎて 「つい、このあいだ」が二ヶ月前
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夕まぐれ焦がれる人が居ぬ事を帰る鳥から囃されている
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赤べこのようなあなたの相槌にたまに頭をポンポンしたい
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みかんもぐ捻りを効かす右の手が四人分伸び秋の風ふく
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見切り品 金木犀のシャンプーを 1つ手に取り 冬を遠ざけ
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誕生日 いざ当日を迎えるとbacknumberが沁みるね すごく
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部屋の隅 蹲っては 天を見る 変わらぬ白に 心揺れてる
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眠れずに 早朝出勤 とぼとぼと 明けの明星 呑むよなあくび
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本当に尊敬してます本当に 待ち受け画面にするくらいには
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