雨嵐 泣かずにおれぬ 空の果て 人になだめる すべはなけれど
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満開の桜に雨が降りかかる しとしと はらはら ぴちゃぴちゃ ぽとん
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この雨で咲いた桜は散るけれど また来年も見に行こうね と
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まだ寒い冬の足跡残るけど 春の気配もしてきたような
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「つめたいね」「そっちのほうこそつめたいね」耳触り合う 真冬のふたり
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低気圧 晴れない気持ちと空模様 頭痛薬飲み、雨はしとしと
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春の海 この指はなさぬ 恋の袖 溺れた心臓 抱きしめるまで
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件名が「応募に関するお知らせ」は 今後の活躍お祈りされる
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雨はまだ止まずに国道20号線を濡らして頬を濡らした
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件名の「応募に関するお知らせ」で メールボックス埋め尽くされる
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とどかない背中のファスナー 高い棚 天使のハシゴに救われている
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みちたりた月になぞらえる人生は梅か桜か 野に咲く花か
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何日かに 分けて食べると 決意した はずのクッキー缶の屍
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満開🌸と共に、そぼ降る寒い雨、また南の国で大地震、復興願います
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学ばない人間だからこんなにも惨めに堕ちてもまた恋をする
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湯を沸かし 豚バラ素麺 カツオだし 寝不足の胃を あたためる
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雨に濡れ終わり知りてか紫木蓮もくれんの花弁は鳥の羽ばたきに似て
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不具合な私の手を取り君が言う指先だけでもワルツは踊れる
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自治体に聞けば教えてくれますか?正しい恋の処分の仕方
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羽ばたいて羽たたんでは宙滑る落ちぬものだと思う飛び方
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雨降りの桜の下の看板の「さくら薬局」の文字が濡れてる
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「なんとなく、愛国。みんなで売ろう兵隊を君がその兵だけれども」
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忙しく貧しく物思はざる他者の恥を快く愉しむは たれ
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柔らかな日差しに冬は溶かされて殺されたのに誰も気にしない?
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ぼんぼりのような桜の枝拾い濡れた道路に一人立つ、雨
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雪囲い要らなかったな、クロッカス踏んづけぬようそろそろほごし
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一歳の君とキリンを見た今日が 君の心に残れば幸せ
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夕暮れに子どもの服から一枚の 花びらひらり持ち帰る春
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サクラサク 知らせの陰の 助演賞 紅い椿も あちこちで咲く
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いつの日か疲れてあゆみをとめたとて振りかえり見れば七色の道
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