休暇取りどこへ行こうか とりあえず 駅レストラン カレーは甘し
1
生け垣と防砂ネットの閒にも空はありけり。雨のそほ降る
3
たちまちに壁の向こうは雨になり夜が来ていた寝転んでいた
11
透明なる物のみ召せば透明になれると云ふ寒天のさゞなみ
4
镁离子マグネシウムイオンが優先するゆえに泡立たない詩々を御覧ぜ
3
泡立たない石鹸のような感性を画面にぬりひろげる親指
3
有り触れた言葉だけで綴るラブレター 僕の気持ちが君に分かるように
0
終焉は一度だけではないらしい未来人からテレパスで聞く
3
銃を取る あなたの指は昨日まで孫の頭を撫でていた指
4
しあわせははかなくすぐにこわれる、と彼女は 齢5歳で知った
2
持ち札の 全てを君に 見せたって のこり続ける 心のジョーカー
7
何億年 僕が化石に なったとして 君のその手を 求めていたい
2
あなたとはもう会えないね初夏の朝 星座占い、一位だったよ
6
ホースから水の弧に虹 ニセだって生きてていいっていうグラウンド
7
ページ繰るかすかな音が本の虫たちの羽音のような図書館
9
記念日の 当日になる 初ライブ 演者も客も 緊張してた
0
辞書にない言葉を探す瞬間は 大抵胸が締め付けられる
1
もう少し先の駅まで歩こうよ来年のこと巧みに避けつつ
10
ぬばたまの 模試の結果も あかねさす 明日になれば 忘れられるさ
2
曇ることやめた眼鏡をかけたまま模試の結果は全て冗談
6
宵の入りに くゆらす煙と 虫の声は 眠れぬ夜の 始まりを告げる
1
「がんばれ」と 言われることは 苦しいよな みんな十分 頑張っているから
3
君はただ 走り続ける 十字路に 置き去り僕は 背中を見送る
2
「今はまだ言葉に出来ない」その感情 今なら分かる それは甘え
0
「事件」でない悲惨は記録すらされない。そういうものではあるが、記念日。
2
豪雨でも褪せることない 君との記憶 絶対忘れない もう忘れさせて
1
瞬きはしない覚悟でみるがいい僕らが支払う誰かのなにか
8
君と居た いつまでも待つよ、願わくば 満たしてくれない右隣
0
僕にだけ教えてあげる僕のこと 僕ですら分からないのに
1
君という 肉布団の 下敷になって されるがままに 昇天したい
1