富満てて虚栄の名残今は唯うちひしがるるべし 群衆無く静もれる謝肉祭
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虜囚の貌 労働と銭貨の正しきを未明死の企図に充てて悼むも
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敢ていふ祖国喪失せる測量器になに誇るも無き落日、自死さへ
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歴史より個我を貴ぶ 岩のうへ蒔かれて終ぞ実らざる種子
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退屈な日々をなげく友の話 〆切前にDiscordで聞く
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とお下の従弟にあげる参考書 相合い傘の落書き消せぬ
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「きっかけがあればやるから」本心は「何を言っても無駄だと知って」
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最短で君に会いたいだけなのに内緒なんて意地悪だよね
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ぼく達がなぜ その問いだってわからないのだから絶滅収容所なんてしらない
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戦争は呼吸みたいでひとごろしはどの少年漫画でもかっこいいじゃん。 
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液化した市街電車にはことごとく だって正当防衛だったんだから
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夏のオルガン 戦争賛美に燃えて以降憎しみはジェラートの融点と同じ?
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ぼく達の敵基地ってどこ 夏がきて「告ぐ、直ちに投降せよ」虐殺前夜通達
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世が世なら聖者の証であったかもしれない何かで痩せている人
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胡麻団子にするには足りない黒点の量だな箇条書きなどしつつ
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祖父宅の土間に嵌まった磨りガラスだけにほんとの雪が降ってる
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試験前借りたノートの片隅に 消しゴムの跡あたしの名前
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もうダメだ 物理のテストあきらめて 答案用紙に『センセ、助けて』
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戯れに友が学机つくえに書いた歌詞 ヤツには似合わずオレはニンマリ
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紫のコンバースにて踏み入れる夢でみたあの向日葵畑
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青色のエアジョーダンで 跳ぶ君が最高地点達したときに
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僕の本つぎはいつ いつになったらあえるのですか? 返してくれるの?えいえんに 君の本はあえないのですか? いつ返せるの?きみがすべて
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泣いている こどもの口を塞いでも ただ溢れでる僕の涙は
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流血に気付かないまま生きている きみに聴かせるためだけの唄
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漆塗った古いお椀に 一カ所ケガシタ子供の 手の爪の跡
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自転車が走り去るより高速で褪せろよ君と、君の思い出
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恥を知れ!漢字誤り黒板に省する我は国語教師
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死に戻り死に戻りして討った日ももう過去のこと カースガノン戦
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風の中飛び交う白球弾道が揺れる心もそのレベル差に
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街から町へバスからバスを乗り継げば濃くなってゆく青空の青
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