秋迫る ひねもすのたりきみの手は桔梗色した諧謔ばかり
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「このあたりの土地が欲しけりゃ俺の許可、取ってくれろ?」と 猫ふてぶてしい
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丁寧な主治医の説明ありがたし モヤモヤ消えてお腹空いたぁ
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検査して診察までの二時間半 読みかけの本きっちり読了 /夫の通院
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まだ生きる 買ってきました 電気屋で 空気清浄 頼むでダイキン
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アナログから半周回って戻ってきたデジタル腕時計
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台風の進路予想はいつ見ても大きくなると錯覚をする
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キツイなあ 「キツイ奴ら」を 観ていたら 吾郎と完次 私と重ねる
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関係は 一度途切れて それっきり も一度話す 勇気が欲しい
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ラジオからフランク・シナトラ『マイウェイ』が口遊めるほど知らぬ我が道
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お土産に持たせた母の常備菜トマト添えられLINE で返る
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夜半には 実家は雷ドカーンで 母とタヌ猫 びっくりソワソワ>あ、無事です
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雨の止み間 あらしの前の静けさや もったいない気もするけどダウン
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桜など散らしてしまえ春嵐 ただ咲くだけで愛されるなど
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おいでませ泣く子も黙る歌舞伎町ここはハトすら人を喰らって
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僕のこと見つめうつむきまた見つめ 少し笑って貴女は告げた
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ゾンビーになった僕らは飽きもせずフードコートに入り浸ってる
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わたくしを例えるならば潤滑油 社会に溶けて消えたいんすよ
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人間が一夜で消えてロボットの防災無線が鳴り響く朝
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できるならロボになりたい精神に脆弱性を抱えたままで
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調律の狂ったピアノで弾く君のドヴォルザークのポルカの調べ
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のんびりとゆっくり行かずに早よ行ってしたの都合なんぞ野分けは構わず /一週間か
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赤本を口実に買うヘルマンの車輪の下で夏は擦り減る
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赤本とアルジャーノンに花束を僕らは学びそして忘れる
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予約など無いものと思え外来のベテラン患者が諭す長椅子
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確認で生年月日を繰り返す「もうすぐですね」と優しきナース /もうすぐ誕生日
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詰め込んで溢れてもなお蓋をして短歌に母の弁当を見る
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嵐去り 余韻纏いて 吹く風は 涼やかで秋 連れてきたよう
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人混みに思わず取りし老妻の 思いの外の柔らかき手
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朝早く避難警報発令され いつも通りの通勤通学
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