手を出せば 炎に焼かれ 火傷する 何もしないと 冷凍保存
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哀悼が響く欄干のふもとにて愛が芽生えた痕跡を見る
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嘘だった言葉を投げかけ止まる足 首から下だけ見つめている
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紫陽花咲く遍路を一人反れ気付く 二十八歳残り五日だ
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ウグイスが 鳴くしまいこむ 冬月の 更生保護の 道しるべにて
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前髪の 遠き山には 松茸が 海のダイオウイカ ピンク色の桃
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寂しさに 裏を籠めての サンドイッチ 折り畳み傘 管理職失墜
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桜桃忌 『人間失格』二度読んだ 太宰の生き様好きになれぬまま
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CDときみの5秒を買っている 両手にハンドクリームを塗る
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「天国のあの人が悲しみますよ」 それがわからないから泣いている
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別にもう会いたくもない人間がたまたま親であると不便だ
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耳元で謎の民族たちが唄っててなかなか寝付けんこれも疲労か
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静けさに目を覚ます午後九時十五分 誰に起こされたわけでもないのに
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きらりんとアイドル夢見る少女には聞こえないこのサイレンのこと
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邪念だねこんなところに居るものね一人が良ければ身を隠すよね
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「二時間後ここに集合」できるほど今見た映画に冷静じゃない
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笑っちゃうくらいくだらない雨の日ご覧靴までお祭り騒ぎだ
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やがてくる春を知らない君のもと束の間羽根を休め居る冬
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絶望の一歩手前に君がいる九九ができれば死ぬことないのに
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滝口入道を二度読み終えてあの頃の二人に戻る夏の奥嵯峨
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もらい泣きしたいくらいにギャーギャーと取り乱す空何かあったの
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ぬばたまのもよも更けじ 真澄鏡ますかがみながめて砕く音も聞こえず
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鍵尻尾キジトラ白の日本猫 大きくなった君を夢見て
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次の朝迎えず消えた手のひらの上に乗るほど小さな君
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悩んでも運命だとしか言えなくて 小さく軽い亡骸抱いて
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助かると信じて世話をした子猫 最後ひと鳴き別れを告げる
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早くうつ心臓の音が好きだった 手のひらサイズの君は亡骸
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言の葉ツイッター川の流れタイムラインに人求め此岸しがんで月と影と過ごす夜
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風吹かば千々に舞ひたりし言の葉のただ一葉さへ君に届かまし
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夜雲にしまっておいた月明かり本と一緒に食卓に置く
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