ささやかな君の寝息に安堵して明日も一日健やかであれ
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石ころとダイヤの原石の区別はつくことないから蹴飛ばされるだけ
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ライオンも ネコ科と知れば 愛おしく じゃれる妄想 盛大にする
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テレビ見る 同じシーンで 泣き笑う 明日あすまた見よう 隣並んで
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記念日の ケーキとワイン 合わなくて 相性だねと 揃って笑う
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おつめきられ しんなりしていた ちま猫ちゃん マタタビさんで ごきげんなおった?
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お勉強 頭を使い ひとやすみ ふたりで食べよ ホットケーキを
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殺さぬが助けもしないよごめんねと 仰向きもがくカメムシに言う
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つけ麺のもやしの下はまたもやしあとから麺の別皿が来た
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背に浴びる陽射ひざし日に日に強くなり 押されるように職場に急ぐ
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譲られた 専門店の ティーカップ いつものお茶が 深い水色すいしょく
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いつまでも息切れだらけのこの日々に嫌気がさしては息を止めてる
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普通とは違う出逢いだからこそどこか違うと夢を見すぎた
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猛暑日と言え真夏日とまだ言うな 梅雨に挨拶してないでしょうが
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目の前でゲロを吐いたおっさんを他人と思えぬ夕方の帰路
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会社から貰ったコーヒー飲みながら悪口言うのが一番幸せ
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6両の快速特急を8両目で待った誰かの眼差し
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真夏日のグラデリップは君の前では意味を成さない
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浴びていたを止めたのはいつからか ベタつくクリーム顔に塗り込む
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待ち伏せてツリガネソウの昼下がり 蝶よ惑わず舞えそのままに
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失言を取り消すことも叶わずに火傷しそうなシュウマイを食む
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歩いたよ!ラインが届く祖父祖母ジジババに よーし、決まった今度のみやげ
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気遣いの できる人ねと はめ込まれ 違うのほんとは 臆病なだけ
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退屈な無声映画のスクリーン 惰性のままに時は流れる
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鳥が鳴く海のベンチで沈みゆく夕陽の道をあなたと見たね
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使う予定なくなり捨てたパッケージ コンタクトレンズのそれに似ている
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げんげつ幻月や 闇を照らして 明けの石 紫陽花咲けば 青に染まりし
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夏の昼 道路に貼り付く照り返し 空へと伸びるセンターライン
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笑ったりたまにするので楽しくもあるのだろうと恍惚の
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梅雨が来ぬ ふと考える 通勤路 落ちゆく汗は 夏模様なり
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