流れ去る 終電のひと 見送りて 置き去りにされし こころ畳む夜
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古本屋ネットを超える出会いあり 期待以上の本を手にして
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同じ品下は考え忖度し見分けるための改造をする
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寂しいと 思えば瞬間 この雨は 氷にかわる そんなギリギリ
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ほろほろとやさしい雨音落ちてきてまぶたの上にそっと乗っかる
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月の山目指して兜巾ときんの山伏は法螺貝ほらがいひびかせ雲の峰ゆく
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鳥海の峰より流るる月光がこう川 川づらたぎらせ鮭の群れのぼる
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数うれば卒寿も過ぎて川辺に立てば彼岸より葦笛の聞こゆ
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あすか道柿の葉すしを 携えて黄金の稲田にみささぎさがさす
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車両内 熱気むんむん 汗タラリ フィンランドのサウナみたいね
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どんな絵も額に入れればよく見える 私を入れる額縁はないか
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Aと仏壇そして猫Bで結界作り母を封じる
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ハロウィンの次はいきなりクリスマスいやちょっと千歳飴舐め待て
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十年をひと昔などと言うけれど ほんのすぐそこ 長女猫あのこの想い出
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母と行くランチの日付先に決め ひさびさの店で着るもの悩む
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それはまだ私が幸せだった頃欲しいものほど遠くにあった
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ノンカフェイン惹かれるままに買い置きて赤きルイボス眠剤を飲む
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無能だと 言われて返す 左様です 可能でしょうか 多様性です
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機種変でフェイスブックにつながらず 夜中に途方に暮れてます、はい。
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否が応 赤子のおしめが 想われん 君紐パンを 履くことなかれ
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珈琲を 早く抽れろと 寝起き声 早く帰れと 内心の声
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別れても 止まぬチャイムと 鳴るスマホ その図々しさは 放送協会
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有終の美を飾れざるるは悔しいが自由の国での活躍に期待
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同期会 なのにChloeの パルファムを 振る首筋に 無言のキスを
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別れると 早く言いなよ あなたから こんなクズにも 良心はある
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後ろから 抱きつく君の 細い腕 切り傷だらけの かさついた脈
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愛してる 今だけだよと 前置する 事も出来ずに ただ前戯する
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ロクデナシ 癇癪起こし 叫ぶ君 晩酌の所為だろ 酒不気味
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三十さんじゅうと 八年はちねんぶりに 虎が勝つ ほんまにアレの アレおめでとう
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ねる前に飲む、お湯のおかげで息をして今日にさよならができそう
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