街道に大島梨ののぼり立つ 納品路にも秋のきざはし
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ついに出たチキンラーメン丸かじり 専用品は背徳感ゼロ
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本当は欲しくない物買っちまう 消費者心理突く一個おまけ
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小一のドリルは薄い 二冊目はうんこドリルだ楽しくやって
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天王山 応援したい季節来る 甲子園も受験生も
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よその子の運動神経目を見張る そんな所で前回りとは
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柔らかい物言いすれば騙される、そういうところが狡くかわいい
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父母と 兄姉妹子弟と ショパンの音色 遠すぎて
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父母と 兄姉妹子 弟と 穏やかな心は孤独
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感情の抜けたファミレス店員にも 守るべきものがあるのだとして
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人間が好きで好きでしょうがない僕はいつか君とわらいたい
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居もしない亡霊を居ることにして殺してみせるような論証
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身体からついに離れた後頭部 快適ですか俺と違って
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人間は「救われること」しかできぬ「救うこと」とはいつも幻
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リビングで毒塗られた矢射貫かれて休日予定ぐちゃぐちゃフテ寝
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この花があって真夏をやり過ごす真夜中に咲く夕顔の白
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携帯に挨拶交わし目を覚ます 電車の窓は咳込む夏風邪か
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星になり 夏の夜空に消えていく 貴方の仕草声話し方
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我がくしゃみ年々デカくなりにけり 親父のそれに似てくる不快
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氷入れ安いワインをがぶ飲みす 喉を潤し眠気も誘い
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雨の中 仕事帰りに特売のオーガニックのバナナを買いに
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青春の アオの図するは空じゃなく 知らぬ間にできた 青タンの色
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こいのうた 途切れてしまって まだ歌う 気持ちはきれいになくならなくて
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君の眼にうつる私の後ろ姿 うつくしければいいなと願う
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望みはないわかっているのに繰り返す もう忘れようやめてしまおう
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朝方に消えた手相を睨んでは 途切れた縁の続きを探す
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あの時どうして私自分ばかり 大事にしてしまったのだろう
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電車の窓 外には斜めの水滴が 嫌いな俳優の広告見て睨む
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人はいまだ神をも国をも殺し得ず、夏に氷を食えているだけ。
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透明な世界で生きていたかった白さえ僕には濁って見える
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