落葉が夕陽と重なり溶け合った空はだいたい橙だい
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「愛してる」言ったそばから照れまくるあなたを好きでよかったと思う
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池の端のほんの小さなイトトンボ名も知らずゆえ誰にもヒミツ
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週末は彼の家行く「東京の 出生率1 切ったらしいよ」
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昨晩に何を食べたか言えなんだ認知症かと思われたかな
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ああとてもいいな好きだなできるなら ずっとそばにいて欲しかった
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本のなか 活字の海に沈み込み  浮上をすれば 空が明るい
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食パンがもう無いはず と買い帰る  以心伝心 二斤のパンよ
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眠鱶ねむりぶか喜怒哀楽を忘れ去り  暗き底にて ただ時を待つ
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シャッターを 一度だけきる 一度だけ あなたを看取り あなたを見撮る
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雨露の 屈折率が ふんわりと 隠した僕の トゲトゲ言葉
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父の日の品を持ち来てすぐ帰る そうか息子も父親なのだ
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子の名前 沢山書いた 子育て期 あのバタバタが 笑い話に
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山積みの 使わなくなった玩具 捨てたいが 「弟ができたらあげる」と君は言う
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髪の毛が少ししっとりしてきたか? 無駄な抵抗?五十路いそじも後半
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ねぇ神様 他に方法あったでしょ 股から血を出し 苦しむ以外に
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このときめき 箱に閉まってとっときたい 二度目はないかもしれないから
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旅したいガタゴト列車にひとり乗り 流れる景色暮れる街並み
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夕焼けの写真が届く貴方から 落ち込む私を無言で包む
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このとしで いいなとか思う 追いライン まだ愛カルビ 食べられるかな
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うつむいて見ている孫の目の先に 蟻は上手に行列しており
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綿菓子の甘さの先の冷たさに 吾の中の童時折会いたし
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頭蓋骨が手乗りサイズの声をしてるあなたのすきなあのおんなのこ
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仕事後に 疲れを癒す あの場所へ 温泉♨️に行き 心ほどける
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夫婦とは 共同体と 言うけれど シェアしたくない 義理の付き合い
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他人には伝わらなくもアハハって笑えることを心に留める
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凡人は そう簡単に 変われない 好き嫌いだと 侮るなかれ
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ありがたい 読経法話 聴きながら 嫌いな奴ら 消したい矛盾
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雨粒が暗い眠りに入り込む 鼓動と一緒にデクレッシェンド
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嗚呼、君よ変わらないでと願ってるどこまでも長いシーソーの上で
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