伝えたい 言葉はあるけど 角が立ち 麦茶はいつでも 夕暮れの色
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出た賽の目に泣けよとて 「正しさ」の 正統性レジテマシーの 影縫いながら
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あまりにも定式的に告げられる頭蓋窩に咲くひとつの腫瘤
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ブレイクコアとMRIの相似をなんらかの影が知らせる
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セミまねてあなたの腕にしがみつく 暑いだなんて言わせないから
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現実を 変えてみせると 意気込めば 虎視眈々と 自ら鍛え
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目の前の 機会を捨てて 大望は 果たせぬものと ようやく悟る
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目を覚まし 毅然と立てよ 現実は できることから いっぱいあるぞ
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親切を 悪と勘繰る 圧力に 負けそうになり 怯える自分
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優しさを 押し殺しては 何のため 生きているのか わからなくなる
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悪よりも 善を選べる 体質を 持ってればよく それで十分
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食べてみて 初めてわかる ものがある 食べず嫌いは えらい損失
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やってみて 変に我慢を するよりも 経験こそが 教訓を生む
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できるから 望みのままに 生きてみて 良いか悪いか 神のみぞ知る
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現状を 嘆いてみても 仕方なし 今は耕し 種を蒔くだけ
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藍色のやさしい雲に包まれて踊るみたいに夜を歩いた
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(神様じゃなかったんだね)君に問う 入道雲の向こうのことを
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形式の虹霓にぶっとばされないよう構えて膝をゆるめる
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君がいなきゃ一生知らずに済んだのに私の首のうしろのほくろ
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私の言う「嫌い」を「嫌い」とその通り聞き取ってくれるだけでいいのに
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言葉を知るほど傷つく箇所も増えていくざま拒む間もなし
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いきいきと伸びては刈られる雑草の緑より劣る私の腰椎
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この優しさは黙っていることを選んだ私の怠慢
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キラキラと藻をながる水しかとてどぶの香
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あの夏にやめると誓ったのに今日も思い出しては顎つたう汗
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山の端は 雲に溶けゆき にびいろの 心もようを 書き足してゆく
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暁の 影絵の如く 山の端は この寂しさを あざやかに断つ
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「うしなったものの大きさを語らないことが悲しみの表現です」
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夏茜、戻れずともまた逢いにきていいですかと君きいてくるから
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タイムマシン アバンギャルドな格好の路面電車にあの夏を見る
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