十歳で恋を手にしてそれっきり 二勝目まだかと二十歳の春に  
4
今日はもうビールかなにか飲んで寝よ 明日の録画ドラマを楽しみにして
5
病院に行った日の方がネガティブで たぶん疲れて眠いだけだね
7
あの頃の 自分に何か 言えるなら 「肩の力を 抜いていいよ」と
9
冬を待つよりも出逢いに行きたくて 旅に出かけた木枯らしと僕
7
足音が聞こえたらすぐ立ちたくて 君を待つ耳そば立てている
3
気配りと倫理と優しさ大事にした 私の手には何も無いけど
4
春の駅前一人の占い師 毎年出会いの種を植える
4
しろたへの 雲の重波しきなみわたりゆく 雲平線うんぴやうせんはるけし彼方かなた
4
立冬に入るやいなや画面にはバケツ帽子の雪だるま登場
9
わたしたち、なれなかったね。白と黒、二羽のうさぎに。そばにいたのに。
13
髪型が 納得いかず お昼過ぎ そんなことみな 知るはずもない
6
崖っぷち デッドラインは 今夜中 勢いでやれ やぶれかぶれだ
4
そろそろと梯子を降りる地上には逝き遅れたる夏蝶のかげ
8
3階の窓より小雨眺めつつ世界にひとり尿しとまりており
5
名も知らぬ 路傍の花に 励まされ 靴は濡れても また息を吸う
8
おはようさん・お疲れ様です・お先です 笑顔でペコリ今週終わる
9
雨に濡れ 星屑宿す アスファルト 俯き帰る われ観測員
5
ハリボテの幸せみたいだったけどいだいた気持ちに嘘はないから
9
暮れてゆく秋の泊まりはいづくぞと紅葉を誘ふ水に問はばや
3
宝物をデジタル化する手触りを失くしてもなお咲き誇る花
8
秋晴れに藁を素早く束ね積む米寿間近の野太き義兄あにの手
20
あと5分!(4分‥以下略)1分ごとに言い聞かす ゴハンの前の「ニャーン」にお返事
6
きれいねと言えるくらいの雪ならば私も好きって言ってみたいな
9
近頃はいつもの手順に穴が空く 口紅忘れリンス忘れ
11
介護士を目指す異国のの手から言葉を超える真心伝ふ
15
彩度が落ちた街には 未だ色付いたイチョウ 明日は初雪予報
6
色のない街にかくれてあなたからそっと誓いのキスをくれたね
8
あの暑い夏を過ごして来た秋は止まることなく冬を置き去り
9
顔知らぬ誰かの秋のおすそ分け 砂場に並んだ松ぼっくりたち
11