Utakata
登録
Login
ばれいしょ女御
フォロー
0
フォロワー
2
投稿数
44
1
2
次 ›
最後 »
若い命の盛りで世を去るかれのごとく春に枯れる花はないものか
3
今日もまた返信ないかとポスト見る 誰にも手紙を書いてないのに
9
たらの芽の天ぷらを食む油気の後に口を通るすずしさ
5
菜の花は希望に光る色を見せ暗い衣のわれを嘲る
3
この時期にダウンコートは暑すぎて羽毛の中で蒸し焼きになる
5
近頃は日の出る内は外に出ず夜の街見るやるせなさ
5
いつの日か寒椿の木のその下に君を埋めよう紅いくちびる
3
夢をみる力さえ とうに失いて横たわればただ闇が広がる
4
味のないガムのようなこの恋心それでも今も噛み続けている
4
大劇場全ての生き物死んだような暗闇裂いて幕上がる
5
うつ伏して自分の鼓動を聴いているその時だけは生を感じる
9
幼子が遊ぶ硝子はわたくしが捨てた酒瓶の成れの果て
4
幼き日君と拾った貝殻のあの桃色が忘れ難くて
7
痩せねばと思いつつ一人むさぼった とても美味しい回転寿司よ
3
文学は金も出世も生まねども 書かず読まずにはおられない
9
段々と人や世の中を愛するよりも呪う言葉が勝りつつあり
5
意味もなく夜道を走る 心臓の血が火照るのに突き動かされ
3
妖婦
(
ファムファタル
)
洋書
(
ほん
)
で見たのは君のこと 揺れる振袖は蛇のよう
3
君の眼は余りに澄んで疚しさに写真の笑みを塗りつぶす夜
4
あの人へ供えた花を火にくべて反魂香のまねをしてみる
6
朝恐く永遠の眠りを願えども死にたくはない心の矛盾
6
現代の太宰を気取る君恋し 最期の女にしてくれないか
4
革靴の汚れ厭うて霜柱避ける大人になってしまった
16
古写真 上臈のごとき花魁のその眼の奥のかなしみ思う
4
妄信は何より楽し 寄りかかる誰かが欲しい神でなくとも
4
雌猫の盛りのついた声が鳴く風吹きすさぶひとり寝の夜
3
誰しもが苦悩を持つと分かりつつ あの人を妬む愚かなる我
5
世の中に何も残せぬわたくしの墓標がわりに子供が欲しい
3
手を触れた温もりだけでは飽き足らぬ 恋燃えさかれ道成寺
2
あの事件 実は犯人わたしなの わざとタバコを消さずにいたわ
4
1
2
次 ›
最後 »