背戸の藪巨木に絡む藤のはな卯月に盛りと青空に映え
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母とネコ、2匹のイヌが雑魚寝するさまを眺める雨垂れの午後
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終わってないことが積み重なるほど人として終わっていく不条理
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ごわついた髪と一緒に編まれてるミサンガのような『大丈夫』の声
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何度でもライヘンバッハの夢を見るいっしょに落ちてくれなかったね
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世の中はことわざしげきものなればいま眼の前もうた二十はたまき
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奥山の岩垣躑躅いはがきつつじ何しかも知れぬ思の色に咲くらむ
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鈍痛のなか目覚めるそうかもう休んでいいのか知らなかったな
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毎日が誰かのおめでとうだから しばしこちらにとどまっている
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不本意を すり合わせして 上手くやる サカムケなんかは 少しの歪み
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仲良しの兄弟は風邪のキャッチボール 全てキャンセル今年の連休
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打つことは決めているのに打つ場所を決めかねている恋の終止符
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美しきを 素直に美しと 感じる それ 美しいこと
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クレマチスひろげし花はかざぐるま 哀しみ知らず夢をまわして
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いよいよに古希となりたる今朝もまたヨガでスタートいつもと同じに
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公園でアイドル真似て踊る少女等 弾ける笑みに吹く若葉風
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友くれしコゴミとタラの芽は胡麻あへと天ぷらにてそれぞれ味はふ
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綺麗になったねって、今更そんな  おトーフ おネギ おナス ほらね、
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今日はやけに バスの速度がゆっくりで 心が先に君へ届きそう
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愛が嘘だったら怖い 爪を切る  本当だったらもっと怖いね
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月が綺麗ですね じゃなくて、アイボリー  お米炊くからお風呂洗って
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そのへんの言葉じゃサイズが合わなくて 裸の気持ちがくしゃみをひとつ
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解答のない夜が連なった向こう側で 何にもない今日を称え合おう
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寝る前に昼間流したあの言葉ふと思い出す 遅効性毒
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俺の、もう一人の俺がいつだって今すぐ寝ろと俺に言ってる
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母の着替え前より上手くできたよに 毎日やれば何かつかむね/介護
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河川敷友と積み上げ競い合う石は崩れど意思は崩れず
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浮気しても言わないでと冗談混じりに笑う僕約束守る清楚なあなた
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帰り道いつも君を送っていたから今日から近道影一つ
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花火見て目を輝かせる君を見ている
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