手が滑る買ったばかりの本が落ちる 罰当たりだな罰当たりだな
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いつまでも手首を冷やす袖口の輪に沿ってしみ込んでいる水
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箸の持ち方はキレイな君なのにペンだこは薬指にあるよね
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また負けた昼飯選び三択で 思ってたのと違う唐揚げ
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命なら致死率百%だよ。廃墟の帝都に黒雨こくうが降つてる
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だるま市 閉塞感をブチ破るデカイ仕事に飢える寒空
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光降るガラスのような柔肌に血の色をした夏が満ちてる
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靴底を洗っているの薄氷を踏んでは割って過ごす一月
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病床の闇 おろしたてのカッターで生命線を薄く延ばして
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何度でも十四十五の降雪を尋ねやっぱり数IIは苦手
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張り裂けるこの胸からも流れ出す (恋の歌などなければいいのに)
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【地獄だよ】もしもぼくらがゴーグルを脱いで観たならこの天国は
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シュプレヒコール いま君が死んだとしたら・その歌のイントロだけで泣く
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海風の 重さに凧よ耐えかねて 沖の深くに僕沈み込む
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幼な日の 懐かしき夢思い出し 川に飛び込む真夏の日盛り
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夜の川 繁る葉っぱと廃電車 盲目のまま歩き続ける
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川べりで小魚殺し戯れる女も親になる日が来るか
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学校はきらいじゃないよ教室がいやなの虫の気分になるの
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「なあ俺ら漫画で例えりゃどのあたり?」「一巻の終わり」「お後よろしい?」
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鉛筆が折れたささくれ鋭くて共通テストの厳しさを呼ぶ
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現在の用語法ではまだ「死」とは圧倒的に肉体の死で
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この罰はいつ終わるのか花色の小石がひそりたたずんでいる
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咳の音 素顔のひとをこわがって 花見られずに明日から五月
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朝礼も運動会も式典も出たことないがわたしはまとも
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沈丁花 いいとこなしの俺たちの最期にもったいないほど淡く
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粉薬 砂鉄のようにひろがって うちら頑張って生きたじゃんね
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自分よか病んでるやつのツイートをプリントしてはトイレの壁に
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少年の頃のかさぶた 今はあざ くすんだ気持ちに流れ込む赤
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あたまのいいやつはシンプル 何が違う おれもこんなに単純なのに
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桜とは 微分積分 対数と 線形代数 数Ⅱの賛辞
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