別名を十字架草と言うらしき ドクダミの花を花瓶に生ける
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君が好き、愛してる、より身をうるむ 絵文字すらない「ちゃんと食べてる?」
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優しさも強制されて義務となる多様化社会のど真ん中にて
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すれ違うひと皆傘を差している このくらいの雨濡れて帰ろう
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すれ違うひと皆傘を差してない ゆっくり畳む駅の構内
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だれよりたしかに光る白毛がいちばんやわらかい場所を知らせる
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言い訳が仕事口調になっている 俺は気づいて水を飲み干す
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今朝は鼻が沁みる寒さだポケットのホットミルクが温むのは春
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ピカタ屋なんて珍しいねと近づいてみたらパン屋だった誤読。
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君の家族との時間も大切に想ってる そんなセリフ言える貴方は大人
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今までの吾の心をちと反省 きみの好物ホットケーキ焼く
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半袖で眠ってしまい明けぬ前 寒さで目覚める皐月さつきわず
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髪を切るどれだけ切ろう真剣に こんなに悩むの生まれて初めて
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五月吹く 若葉の風を追うように ランナー駆け往く川縁かわべりの道
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踏まれても白の花咲くどくだみは愛うすき花 清純なまま
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朴の葉で鱒と生姜のすし飯を 包んだ初夏の我が家のご馳走
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能登の方手合わせ祈る 朝風よ 気持ち運んで静かに吹けと
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災害の予告は空にあるかもと 見上げる癖はホントは嫌い
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夜空へと溶ける花火は網膜に書き留められた短詩のように
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さくらんぼ今年も可憐な実のつけて カラスも狙う戦場と化す
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今は亡き友のアドレス名簿から消去できなく時々眺める
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高齢期の孤独感情に流されず知的好奇心を保ちて生きむ
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片付ける誰かのことが気の毒で21グラムで生きてたかった
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『真っ黒なテレビの画面と向き合うの、小さい頃からすごく怖いの』
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足の裏 ねこの肉球にくきゅうと合わせ寝る ぷにぷに感触じんわり幸せ
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夢のなか 今夜も短歌うたのカケラ抱き さぁて朝までおぼえているかな
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ちゃん付けで呼ぶことの意味 ちゃん付けで呼ばないことの意味 人それぞれ
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傷口を 君と舐め合い 恍惚の 時のあとには 憂鬱の日々
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誰かの口笛が聞こえる夜 あと少し 生きてみようかなと思う
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ストーブを幾度も付ける低温日おとなう雀は餌を求むらし
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