忘れ得ぬ名前をそっと呼んでみる 返事の聞こゆ風の中にぞ
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低温の続きしのちの青空へエゾハルゼミの合唱響く
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今一つ残るポーション使い切り纏う勇気と共に飛び込め
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練り上げた心の内も晒すとき船が浮くほど青くなりける
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休日も楽しくないや平日と休日だけの世界の中で
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父親をオヤジと呼ぶタイミング 失ったままオヤジと呼ばれ
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峠越え 新緑の道路みち ひた走る 快晴の空 ゴ―ルはまだ先
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暗記するほど読んだグイン しんみりと 献杯片手に読み返すなり
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推しジュビロ勝って沸く家族LINE 息子たち元気そうだと安否確認
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人生は縁を積み上げ少しづつ収束してゆく円錐のよう
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薬局の中から夏はやってくる 汗拭きシートと梅味の飴
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梅雨前にやる事いくつか書き出して 晴れに背中を押される休日
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ナンプレをだんだん解かなくなっちゃって また締切が過ぎてゆきます
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ちま猫ちゃん かわいい大好きいわれるよ ダメ、コラ、ちょっと、も よくいわれるよ
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売り出しのキウイ半パック傷んでて 一個200円のキウイとなりぬ(涙)
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ハッカを混ぜたスプレー持ち歩き 散歩途中にシュウシュウシュウシュウ
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結婚記念日、お互い存命中に、大いに祝おうかな
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未来待つよりも今楽しめること 探しにいこうもっと遊ぼう
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いつまでも 君がいそうな わたの底 沖步けども 君には届かじ
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犬連れとよくすれ違う接種日の立ち去る犬の足取り軽し
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目を瞑り10秒くらい待ってから匂い吸い込む「春のばらフェス」
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いつの日か愛に変わるよな恋ならばこの身は焼けぬ私に恋して
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コーヒーをアイスで飲みたい日が来たら私の夏が始まる合図
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まつげから「好き」がこぼれてしまいそう 瞬きもせず君だけを見る
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鳴り続くあさこのフレッシュで気が変になるのが怖くてハム売り場行けず
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束の間の潜る地下鉄涼みゆくトンネル抜ければそこは太陽
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こんな日は海いっぱいのよろこびを陽の差した水さぞ美しき
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箱詰めの電車の様子にうなだれりたこ焼きだって一人一席
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小走りで駅はまだかと向かってく日陰を渡り春はいずこへ
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感情のかくなる上に嫉みくるわたしの身振りに笑う昨日さくじつ
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