幸せは言葉にすればちっぽけで誰かに見せるためにはなくて
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百年と言い出しっぺが先に逝く人生なんて皮肉なもんさ
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剪定を終えた木槿の切り口から光が漏れている冬の庭
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脳死まで動き続ける心臓と心停止まで思考する脳
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あれかしと残る一個の錠剤でいのちづな今日はほぼほぼ吉だとおもう
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いつの日か 高いと思ふ 雲の上 知らず知らずに 狭く思える
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如月や立ちっぱなしの三十分 芯まで冷える冬の旗振り
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なぜ歌う六年生を送る会ジュリーのTOKIO…へぇ、TikTokかぁ
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改めて言い渡されし減塩を まずはここからスープを白湯に
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今月は残業多いし稼げると言う先輩の開いた瞳孔
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朝起きて見つからないスマホを探すへその緒みたいに伸びるケーブル
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慟哭の 白ゆき降らす天の原 我らを癒やす 妙薬となれ
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ぜんぶんなったけど嫌じゃなくて厭選んだこだわりがあたし
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君知るやブルートゥースに紛れ込む遅延の奥の微細な悪魔
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イヤホンを ブルートゥースで つないだが 遅延がすこし じんせいにずれ
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十二時を過ぎると見える透過してそいつを拾い持ってくるのだ
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いくつなら しんでもいいと おもえるか いまじゃないのは たしかなのだが
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少しずつ影に実体近づけてカチャッと嵌めて制御しようか
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大声で愚か者めと罵って嬲ってくれよその幸せよ
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食あたり?ウイルス性の胃腸炎?だれか助けて午前四時半
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けだるさがしみつく閨のリビングにたまごを乗せたトーストかおる
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このまちで孤独に飲まれ錠剤を150錠ほど召し上がる
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からださえ思い通りに行かぬのは神様からの借りものだから
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星型のきいろい果肉を齧るとき世界が終わりを告げる音がした
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感情が全てと信じ生きたので君の優しさわからなかった
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関心のないまま終わるくらいなら嫌われたって良いとも思う
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あなたにも幼き頃があったこと思い出させる誕生日かな
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肩を揉むついでに腰をくすぐると「ヤメテ」と笑う君が可愛い
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ヒール履き肩を並べて歩いても君が見ている世界は見えず
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どうしても上手くいかないオムライス形は歪だが愛はある
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