急降下U字描いて青空へトップガンする雪の鳥たち
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アパートの空色の屋根きらきらと届けてゐたね公園に春
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朝ぼらけ 福良雀ふくらすずめうぐいすが普通道路で息絶えてゐた
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朝月夜 並々入れた珈琲にうつるまだ眠そうな猫の目
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別れてもいいけどちょっと歩こうよブックオフからブックオフまで
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この位置で終わっちゃうのが物足らず都度足出して宙でぶらぶら
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おいお前! 目の前の奴に含まれる命はこいつ一人分だぜ
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何もかも捨てた日の翌朝に見た祝福の形をしてた猫
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胡麻和えのほうれん草をお手軽にレンジオートで茹で食わす鉢
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鼻の尖ったところの造形が芸術的な吊るしたマスク
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明日はだし巻き卵目玉焼きスクランブルエッグのどれかを食う
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窓辺にて凍え弱りぬ蜜蜂に憂いおぼえてひとり春待つ
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風景が変わってほしくない人とそうでない人のいる同じ街
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悲しみに置いて行かれた空白を埋めようとした大寒波の雪
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書き損じ 答案用紙の線つなぎ、◯も×も無い思い出にしよう
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LINEの既読の文字が表示され メッセージが届くまで体感百年
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目の前にあるはずなのに届かない宇宙のような瞼裏色
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君からの電話一本待つよりも映画一本観た方がマシ
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もし急に死んでも君が悲しんでくれるとこだけ見させてほしい
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百円を望遠鏡に投入し代わる代わるに覗き込む夜
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恋人が気付けば敵になっていて愛されたくて闘っている
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ランニングホームランだね君からの指輪を嵌めるまでのいろいろ
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星型のピノを食べてもこの恋は叶わないけど味わってみた
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あなたへの愛は短歌に込めましょう ただの惚気と悟られぬよう
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体調の悪さと部屋の汚さは比例している僕の公式
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「おはよう」も「いってきます」も「ただいま」も「おやすみなさい」も全部キスして
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頭文字Kって聞いて思い出す顔が君ではなくってごめん
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バス揺られぼんやりうとうと気がつけば「お客様終点ですよ」人生そんなもん
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一欠片ひとかけら透き通った面影を内緒で持ってていいかな 涙
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友が子が親が己が日々なにに浸されているか考えたほうがよく
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