うずくまる蜂に思わず寒かろと啓蟄過ぎの風未だ冷たく
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当たらぬも当たるも八卦買い物に行くに行けない曖昧な空
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ざわついた 心の奥を 見据えれば ただ自らの 諸行ゆえなり
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待ちわびた再会不倫にはしたくない初恋がドタキャンにする
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休み電車空いてるね、ゆっくりこっとん、こっとん
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菓子「パン」と 名付けた輩を 恨みます 体重計が 示す数値よ
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音もなく射して仏間に舞うひかり 春のぬくもり知るぬいぐるみた〇ぱんだ(大)
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晴れわたる弥生の空と台所 ラジオは語る 十三年
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各おもちゃ何でも揃う児童館 一歳二歳に夢の国かな
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散り初むる河津桜の木の合間覚えあるひと手を振り笑まう
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好きな人 一緒にいては気づかない 失くし初めて どれ程か知る  
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食事ではなく胃袋に物詰めるようで テレビもつけず昼食
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春日なる三笠の山の鴬はいづくをさして鳴きわたるらむ
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薄紅のさくら壺湯に舞い降りた 花見の酒に肩まで浸かる
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昔から自分のことじゃ泣けなくて 誰か代わりに泣いてください
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寝てるねこ あまり撫でるなといふけれど うちの猫たちは気持ち良さげで
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朝食にヤクルトつけると なんだかな 病院食ぽく見えるの何故だろ
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消える淡雪 悲しいが 悟空達皆 天で生きるよ
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古びても今有る物は戦後からそれも我が家の歴史のひとつ
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亡き祖母の遺品の中にひっそりと大空襲の「罹災証明」
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梅が咲き 菜の花咲いて また雪が 戻った冬に 訃報が届く
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こわれものであると信じたやはらかい嬰児le Fouの玉体のごと
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戯れに立体を解くいっぴきの猫がmathematicianにみえた
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せいかいのおと!いくらでも叫べ子よ機能している一本の管
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おいおいおい おいおいおいおい おいおいおい なぜまだ持ってる その重要書類
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ああ母よ 外を窺う その姿 外から見えてる まじやめて
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春の候 指先菜の花に染めてみる  好期到来 願いを込めて
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幾度めかの 宣言チラ見で応ゆ君  今度こそ本気と 絶つ炭水化物
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差し上げます 何度も聞いた その言葉 いつくれるんだい ゴイゴイスーのスー
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無理きかぬ 軋み始めた 繋ぎ目に 油差したい 私の体
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