もし今日が友引ならば 幽霊の君は私を連れてったかな
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「雌」という 記号のみの わたくしを 君は「私」と見てくれたんだ
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信じられないくらい金を使ってるノート一冊千二百円
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ストローを支える指のうごめいて 長蛇のごとくしなやかに撫でる
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品川過ぎかわさきの 裕福おげひんそうな ご令嬢ヤンママ指定席いばしょ譲りパクられ ここでも通路へたちんぼ
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在りし日の 母猫の遺影 骨壺に 添えて涙す 晦日の夜
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ロマンスを 期待したのに 失望ね 星降る夜に 腰振る君に
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娼館の 待機室で 無機質に 歌を作れば 行く年来る年
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「南回帰線」といふ名の隠れ家の 波に揺蕩ふ咎人の夜
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この時期としのせに 私を抱く買うのは 有馬記念 当たった爺か 公務員ボーナス特権階級かね
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掃除終え互いの頑張り讃えつつ栗のお菓子を半分こする
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道端で 子猫のように 震えても やり捨てられて またやり直し
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忘年会 呼ばれる理由は 分かってる 無理やり飲まされ 雑に抱かれる
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年末に なると毎年 田舎元カレから 金を寄越せ酒代払えと LINEが鳴るの
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娼館で 打たれるシャブの 使用感 そういや祖母も ポン中だったな
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端した金 配っているけど 岸田がね 私の身体と 同価値クソメガネ
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処世術 股を開くの 心より こんな女の 界隈ではね
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新幹線 夕陽に染まる年の暮れ輝く笑顔の子らを乗せゆく
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腱鞘炎 イブで誤魔化し 気に入りの 桜のミニお盆あらって掃除〆シメ
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ヤフー天気 明日の日の入りよく見たら うさぎがバトンを持って待機す
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おやつつつ つつつと寄ってくるねこの 狭きひたいにデカデカ書いてる(笑)
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おやつ時 ちゅーるあげてる 三にゃんに 壺のママにも 供えて然り 
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朝九時に目的地にいる機動力 先手必勝暮れの買い出し
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心病やまいゆえ不安をかかえ生きている なんとか無事に過ごせたの年
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もう足を蹴られないこたつの中でひとりぼっちで冬眠したい
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湧水の音たて歌のわきあがる 淀みに浮かぶうたかたは消え
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今日もまた灰色の空つづく里 汚れたかなしみ白雪でつつむ
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買い貯めた冷凍食品無理矢理食い 届いたおせちの場所確保する
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牡蠣そばをすする隣で金色の衣が軽い音たてるから
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ひとりひとり 思い浮かべて賀状書く このひとときも風物詩かな
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