もう誰も私を見なくなったけどたまにはお洒落雨の日だもの
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お向かいの赤子の声が響いてる行ってあげたい午前四時半
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少子化は女の無言の抵抗と聞く 頷くような生理痛
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少子化はお金だけでは止められず「母」の日常細部まで見よ
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そういえばコツコツするの好きだったひと月分の駄作貯まりて
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雨の日はなぜか心が晴れません出そうな本音抑え込むから
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ツンデレが あからさまでも 愛おしい 共通言語 なくても平気
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『お母さんかしゃん、好き?』 毎度訊くたび うちのは 返事代わりに あくびをひとつ
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実直な政見放送かすむ中がんばれ都民有権者達 / 都民より
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恋という衝動よりも劣るからバウムクーヘンかじって泣いた
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雨降りの窓辺に ねこたち 顔寄せ合い「あめだね」「そだね」「じゃばーみたいだね」
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寝起き顔 鏡覗き込み「何?熱い!?」単に くもりどめ消し忘れてた
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ミルクティー 甘みに溶かして 梅雨の空 雨空の向こう 晴れ渡るべし
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ひかりが味方をしてくれずとも きみと手を取り道を拓けばいい
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五月雨のふる江の真菰水増せばかりにも人の来ぬぞ苦しき
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湿気ったり乾いてみたり模索する  調湿剤を私に下さい
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新聞をVラヂオを排除して ネットで「好き」に囲まれ暮らす
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人よりも愛情深き人がいて  流れに抗う強さ美しき
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スマホごし君の部屋から雨の音  もうすぐこちらにその雨が来る
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勝てば官負ければ賊よもろともに男泣きして退く田原坂
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何度目か 「あなたはきっとこの人に恋をします」とエーアイが言う
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遠くより静かに寄せるトレモロのブルックナーの音のさざ波
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雨の朝渋滞酷くイライラとこんな時こそ心にゆとり
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帰りには待ってる怖い焔魔堂行きは良い良い金毘羅参り
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おっかさんせがれと呼んでおくんなせえ旅烏でもたった一言
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いつもより気持ちを込めて「気をつけて」 雨煙る朝 出かけるつま
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写真に映るのが当然のような君は私とは違う人でした
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月と星すべてが砂になったあと岸辺で逢おう いのちになろう
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十四の少年こそが血と柘榴について語れ神話の如く
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大雨に 備え身支度 する朝は 雨の日に行く 遠足に似て
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