つんとくる冬の空気を纏う君 毛布にくるまる温度わたしと混ざって
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良い友で、なんて綺麗に言うけどさ 想った時間が長すぎたんだ
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秘密箱かちかち鳴らして 紅水晶 ときめくたびに握って祈る
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吾母の味はサッポロ味噌ラーメン わたしの丼にはたまごがふたつ
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深夜二時 宇宙を探しにきみとふたり 海岸沿いのファミレスでパフェ
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花冷えだ もいちどおでんが食べたいね たまごと大根 おすすめもひとつ
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死んだ方がいいよと囁く自分を抱きしめる両手、どこですか。
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「いってらっしゃい」「いってきます」の普通からALSの妻は病室
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鏡絵を描く余裕あり「さようなら」言ってから句を歌を休んで
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嫉妬深いと気づく二年の暮らしから悋気諍い詠むようになり
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この橋を渡れば彼の家があるいい友達になり過去になり
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相棒はパソコンボランティア生徒の爺ちゃん頑張り屋だね
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焼け野原 古びたマウスの センサーを 左に振って 咲く百合の花
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相棒とセカスト行って手に入れたパソコン充電これで良いのか?
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快晴の 空見上げれば 降ってくる 憂鬱という 別の地球が
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いま春が、冬に憧れ追ってきた。交われぬこと知っていながら。
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屋根裏の ホコリ集めて 湯を入れて できた飲み物 「お茶」と称して
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胃の中の 胃液の海の 砂浜で 静かに眠る 夜明けと共に
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ブラックな ジョークを言って ツッコミを 待ってたはずが ひどいと言われ
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子を誘い飛びついてぶら下がる子が「行かない」遠い汽笛が聴こゆ
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「素直だね」 言われて 馬鹿にされてると 思う私は 素直じゃないよ♪
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シャリッと鳴る苺大福噛み締めて驚くほどの空の高さよ
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たった一秒でも早く君を助けるために駆け出す赤信号
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媚びているつもりはないと言い聞かす。鏡の私チークが濃いめ
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「平日」と 名乗る怪物 から逃げて 必死に綴る 31字
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きみがいる/きみがいない の境目を縫うチューリップはまだ透明で
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我に告ぐ 反芻するな 嫌な奴 頭の中を 占拠させるな
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現代の怪獣は一斉に動き出す 青リンゴの点滅に誘われて
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納得がいかないままに沼に落ち 死角から刺され あとは滅茶苦茶
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好きじゃない いやまじ本当こんな奴 顔が良いだけ推しじゃないから
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