ふゆこもり 木の芽もはるの寒ければ 衣更着きぬさらにきるつきぞなりける
5
胸の底しろく冷たい言の葉は春のひかりに灼かれて消える
5
まだらぼけ おいなりたべて 「おいしいなぁ」 なんかよかった きょういちにちが
22
顔面に覆い被さる墓土はかつちの息苦しさをふと思い出す
6
お箸から 転がり落ちる エビフライ 蟻の世界に 花びらが舞う
5
自販機が いつも吐き出す 500円 週3くらいで 訪れてほしい
3
見にゆきし 緋寒桜の LINEくる ベッドの上から 感謝を返信おく
12
晴れ間には軽やかに舞う春の雪海のない街にも凪はある
15
蕗の薹薄黄緑うすきみどりの 衣着て 吾を待つかな 如月の空
16
丁寧な 仕事の出来は 心打つ 手抜きせぬ技 病棟の朝
18
同期会五十余年の時んで「女の子たち」の語らいはつづく
15
散る散る桜 川面落つ 輪廻転生 咲き溢れ
3
父を乗せ 車椅子押す 喜びよ デートみたいな 親ちかしさ満ちて
11
温かな常緑みどりふところいだかれて鳥は囀る夕暮れの歌
14
人の名が肝心なとき出てこない これもしかしてアレなのだろか
15
子育てが毎日放つ新しさ 集中したいどんなことにも
13
友Aに 言われて気付く Bの良さ こんな仲間に 限りない感謝
11
キューピーのようなお腹もシュッとして 赤子の名残り薄れし二歳
22
積み木一つ積めたそれだけそれさえも 嬉しいことを子を産み知ったよ
19
ズボン履き女子高生が車座で井戸端会議冬の木洩れ日
11
意思表示避け委ね合い膠着す 保たれる和は滑稽の域
11
あのガムの絵柄を馘になってから雪原よりも白い経歴
4
教室のパースはいつも静謐にジュブナイルを舞台装置に
5
晴れた朝寒かったんだ寝相もそう放射冷却出すウルトラマン
9
恋しくない歳下男子を待つ事は「ビミョー」ってちょうど便利なことば
13
思うより あなたは強い その歌詞に 救われた日が どれ程あったか
21
言霊が 光を放ち 灯すよう 鏡を磨き 心を磨く
16
わがときは 多段ロケット 七十段 よくぼう あいや きぼうおち ペイロードのこる いのちのゆらぎ
10
デコポンのポコっとなったとこ可愛い 甘酸っぱいね もうすぐ春だね
18
かーてんを あいするねこがくるまって 日向ぼっこはできているかな
14