遠くまで 用事があると言い放ち 二度と帰らなかった 男は疎まし
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遠くまで来てしまったよ後方のオニが到底触れられぬ位置
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遠くまで来たと思って真後ろを振り返ったらきみがもうそこ
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遠くまで来たと思って来た道を振り返ったら真後ろにきみ
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午前2時合コンからの帰り道 今日の収穫コンビニおでん
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‪かなしいを受信するのは春だから‬ ‪朝にドーナツ食べててよかった‬
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一句出来た と筆を取る いやボールペン いやキーボード いやもうAI
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帯にせる細谷川を春ごとに花染にする吉備の中山
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網代木にしばしいさよふ花筏また押し流す宇治の川浪
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桜木の下に空荷からにのトレーラー上手い具合に春を乗せてる
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風よりも過ぐる日数をとどめなむ勿来の関の花の吹雪に
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嫉妬する 君を可愛く思うのは きっと今だけ 経験上は
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高砂の盛りの花に風吹けば尾上の松にかかる白雪
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キミの微笑えみ私はいつも独り占め 生きる意味ある瞬間だった
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物価高の煽りを食らうファミレスで私は君をどうにか落とす
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悪人の魂 未来永劫にソープの泡のひとつぶを課す
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愛情はかんたんに冷めレンチンも湯煎もおそらく効果は為さず
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吉野山峰の桜の散るときは谷の枯れ木に花咲きにけり
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麓には雲とや見らむわが庵に雪とのみふる峰の桜を
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散り果てぬ間にとさまよふ山の端の月にあまぎる花の白雪
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淡々と値上げ予告をするアナウンサーアナよ私しゃもう音を上げたいのだよ
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早朝の仕事が憂鬱アラームは5時55分GO!GO!GO!を指す 励まされている
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初めての 春雷の音 響きたる うちの子猫は 驚き慌て
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一皿が100円と云ふ寿司のネタぺたりとシャリに乗りて目の前
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手に持ちし缶コーヒーを床に置き若者駅に降りて行きたり    
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ありがとう早めに失恋できました春一番のような恋でした
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かなしみの歌を歌う、この胸のぼくの痛みをよく知るために
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星霜は 黒毛の君を白く染め 惜別しらす 春のあけぼの
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君は傷を癒えるものだというけどわたしの膿んだこれはなんだろ
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ワンコインでお迎えしたボタニカル柄の時計はいつかの8時
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