日が暮れて 西陽が差した 森林の スピリチュアルな ヒグレな何か
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スラリンと ピエール起きて仲間パーティーに こころ弾んだ キミとの冒険
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山の手に 導かれては十五年 行く行くしるべ  待て待て止まれ
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雪山に 忍ぶ春陽の木漏れ日の ふきのとうの芽 もうじき春かな
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橘の朝日差し込む窓際に 今宵も染めし橙の肌
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闇雲に ヤエザクラへと 手を伸ばす 先へ先へと 分け入っては
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お着替えをしてきたのかな チャトラ柄もかわいかったよ 今もおしゃれね
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知らぬ間に名字の違うLINEあり 昔と違う幸せの君
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古ぼけた靴が新しくなる時は、いつも誰かのさよならの後
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華やいだバースデーケーキに憧れて 「命日おめでとう」一吹きの煙
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指を折り推しの齢を数えては 蝋燭を灯す「生きていればね」
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あたたかな宇宙のかけらは黒白の毛皮をまとい隣で眠る
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未来など本当はないと分かってる それでも今は信じて進む
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振り返りその瞬間に目があった ふたりの旅が再び始まる
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夏のせいだラムネの炭酸が抜けたことそれからきみのことも
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冷蔵庫 扉の裏の指定席 あなたの好きなスプリングバレー
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晴天のやしろすみで絵馬を書く 貴方の健康ふたりの未来
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「心配をしてたんだよ」と小4男子 だから辞めれぬ愛する公文しょくば
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完璧人の綻ほころび一つ見つけたり 安堵の気持ち俗世の吾に降りるなり
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止まらないオルゴール サイレン メリーゴーラウンド 汗と血と涙
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赤ちゃんをスーツに抱っこ紐 汗だくで連れ来るパパママに心でエール
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午後八時最後の患者ひとを見送って今年も長い夏が始まる
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やさしい猫わたしのこころにいる茶虎 虹の向こうで花の雨降る
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宝石のような小鳥のような恋、詠めばバズるを知って横目に
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駅ホーム監視カメラのいずれにも 自分の顔は映し出されず
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欠けた歯は三十年の噛み癖の成果で僕のおやつはするめ
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この切らぬ髪は願掛け 切る時は 左の薬指が光る日
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大きく夢を描いたら 欠けることなく叶えるさ
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さざなみの 声無きかすれた産声で やさぐれた人を支えてる
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もう何もいらないのだと気づかない 二人でいれたらそれでいいのに
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