母が逝き その三週後に君が生まれ来て 輪廻転生 その意味を知る
10
顔のキズさえも生きた証なり化粧施しおくりびとは言う
4
白鑞ピューターのメダルをさげた君の眼はどの色よりも輝いて見え
2
はじまりは明るかりけり窓の外朝日の中に欅芽吹いて
1
春休み 遠出の花見 フルーツ飴 パリッと楽し 童心に帰る
4
買ってきた金魚鉢置きまだいない金魚のかわりに月を泳がす
38
光射し スローモーション 一瞬で 目が奪われた 一目惚れです
6
「ていねい」と枕詞のつく暮らし 茫漠とした消えぬ憧れ
3
切先が通って緑の花のいんたしかに私ときめいていた
1
特別に招待状をあげましょう「みんな」に入れなかった君に
5
背中だけ すれ違うだけ 見てるだけ 私あなたを夢にみていた
3
あのドアをノックしたとき 17年生きた私は生まれてきたの
6
僕たちが夢を見るとき夢の字もその目でじっとこちらを見てる
7
一月に一回のオシャレをする 穴が塞がりそうだったから
2
切なさで行き場のない手はスカートのヒダの合間のシェルター探す
2
語彙力なきわれが使う言の葉は着回し飽きたTシャツのよう
7
私が言う あなたが硬く頷けば淋しき独り言にならまし
1
私が言う あなたがそれに微笑めば千の言葉のシャワーにならまし
4
気がつくと桜に戯る鳥だった 高架の電車は翼を得たり
1
花びらの光一ひら一ひらに乗せられてゆく人々のこえ(桜)
1
Googleで「ウツツマイマイ」しらべても画像がでない ほんとにあるのに
2
シベリアの口論相手の名に似てる「ベルチャーニシ」それは巻き貝
3
巻き貝を苗床にした珊瑚枝ぼくも同じきみの邪魔者
2
高齢者高血圧と高血糖外せぬマスクこの地域びと
1
すべはなし やるもむなしく やるせなし  さてゆきさきは いかにしようか
3
散り行きぬ 花ひとひらに我が命 行方占う今日の夜に
2
流れ行く 雲の行方を見守りし 秋も遠くに過ぎ行く気配
1
暖かき言葉にふれて目に涙 見せぬつもりが ポタポタ落ちて
2
水色の キャンパスに似た青空に 鳥羽ばたいて 雲沸き立ちぬ
1
コーヒーを夜半に飲みて眠られず 我が身しかりて置時計見る
1