告っても お前を困らす だけなんて 自分が傷つきたくない 言い訳
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ドッキリの看板を持つスタッフをいつまでも待つだけの人生
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決められし時間は十五分痩せ細る兄へとかける言葉を探す
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花筏 乗り込むことが できたなら 月の袂で 待ち合わせよう
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腕をボルトで締められて気が付いた 俺はホントは人間らしい
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薄明にいななく馬と吾は往け 世界が「点」に化ける刹那へ
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イグニッション 右の手首で鞭打てば 猛る蹄で踏み鳴らす 馬
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父母をば見送る誓約ゲッシュ 果てたれば 絡めし鎖 解き駆け出さん
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見え透いた 嘘で自分を 誤魔化して 誰にも言えない 恋をしている
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新学期 遠足前の予備調査 友のお菓子の 好み訊ねる
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ローギアへ落とすつま先忘れじの鉄馬バイク揶揄からかう「まだ来ねぇのか?」
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子供らの 小さき手に触れ 命とは かくも尊き 守るべきもの
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八重桜あなたと見たい団子もね今年も叶う可能性ゼロ
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知ってたよ お前が俺を 好きなのも 言わないつもり なのも知ってた
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猫といて また子育てを してるよう 頬ずりをして 頭を撫でて
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救いとはなんですかいつ救われるのですか全て運なのですよ
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そのつらさもらうよと君が 君が あれ?君も誰かも言ってくれない
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スノトレと義母に聞かれてずっこけるお義母さんそれハイカットです
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「星やばい」ラインの通知開けた窓めくれるページ 秋の近づく
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楽しいと言ってる俺は楽しいが まわりは誰も 楽しんでない
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ぶっ叩くエンターキーが何らかの手違いで爆破ボタンになれ
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家出した実家に息子連れて行き 母に合わせて亡き父想う
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おにぎりのお米一粒かのように目的地まで押しつぶされる
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彩雲にカメラを向けている春は戦争が近づいている春
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嘘のよな桜の花の散る頃に 芽生える想いは蒼き葉桜
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退職する 人を困らせたくなくて、定型文に感謝の想いを
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日が延びてゆるりと茜染まりゆく窓見やりつつ夕餉の支度
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この詩を詠めば貴方の十秒が消えるだなんて泡沫のよう
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切れ切れの 飛行機雲を目で追って 「首ってこんなに 動くんだ」と、きみ。
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箱庭の中へ死にゆきぬ智慧の実も腐りきつたり 食卓のうへ
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