豪華船 貴方に出会い のぞみ知る 深淵の闇 抱えながらも
2
はじめおわり おはようおやすみ ねこと交わす ヒトは時間差で 寝てるもんだから
5
秋田にて 山に憧れ 旅をする シリアの人に 世界を知るか
4
大雨の 音がますます 激しくて ふたりはさらに 包まれていく
7
猛暑の日。 扉一枚 あけたなら カランとなって ひたいをわける / 喫茶店
18
しまひには たれのこりて見やるらむ 皆紅みなぐれなゐの空の終はりを
4
今の祖父 同じ質問 繰り返す 人の名前も 忘れるばかり
3
砂浜と一年ぶりの再会に大はしゃぎして駆けるサンダル
6
柳絮舞う堤をゆけばどこからか寄り来る蝶は亡母か亡姉かと
10
優しさって、気持ちに寄り添う事と思う、同じ高さと同じ深さで、同じ景色を見て感じて
1
水底に沈めた君が何度も手招きするから夏は嫌いだ
5
沈黙と眼鏡とひかる黒髪と すれ違うたび水色の匂い
5
知りたくてその長い袖めくったら 怒られるかな、あすも猛暑日
3
ポジティブに、気持ちアケアゲなる空の、青に向かって深く呼吸、今日の自分に充電完了
1
きみの前 あわやトレモロの心臓 世間話を抜け出したくて
3
獏が食べ残した夢の断片をパズルのように当てはめる朝
12
居間にあるバリの土産でいただいたお面がずっと他人行儀だ
6
長靴も靴下も履きなお刺され上は無事だがなぜ足なの蚊
8
海底へ 差し込む日差しに 照らされて ぼくらの心が 暴かれてゆく
5
ボディソープ せっけんの香り ホッとする 小ビール飲みたい 今夜は、まいっか
4
今日もまた一日を寝て過ごす日々 梅雨だからこそ罪悪感なし
3
七月に生まれた兄はカブトムシ親方ぶってて高値取り引き
7
六月に生まれた母はカタツムリゆっくりなのにどんどん進む
15
凍てついた寒の月夜を見届けて暦を剥がすソーレ七月
10
ふっかふかもふもふしたの集まって部屋の角でみなねむってる
7
終日を雨音聞きつつ過ごす日は独り居の姉如何におわすや
8
シャレオツな店で洋菓子頼めども なにを食べてる?見当つかず
2
夕暮れは 秋でなくとも 良きものと 雨上がりの空 見上げて思ふ
11
自分名義の過去最高額の買い物が ついにきょうまた更新された
3
1日に一首くらいは 風流の 真似事したき 四季折々に
10