帰り道いつも君を送っていたから今日から近道影一つ
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花火見て目を輝かせる君を見ている
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青春を卒業したら人生になる古希なんかなるなとビール
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部屋に1人唐突になるスマホにビクリ「カラオケ行こうよ」「仕方ないなぁ」
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初恋に再会をする明日は晴れかなとひとりで乾杯してる
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けば 仕事恋愛 大人たち てんとうむしを 探しにいこう
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Jポップ旅行ドライブマールボロ私の今はあの頃の君
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旅歩きふと流れてくるあの頃の歌どこへ行っても変わることなく
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余韻を纏いどろんこのまま机に向かい筆を走らせまた更けてゆく
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雨降って残念だったと吐く僕に明日が楽しみと笑う君
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演歌歌手だった北海道で泣く女をやめる指輪売りたい
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愛してくれる人いませんか古希ひとり花冷えビール二本で泣いて
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もし僕に見えない翼があるのならまだ君を好きだって言えるかな
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「円安ねぇ」呟く初夏の居間の母 物知り顔でキリリとした犬
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桜咲くトンネル作る並木道 知らない記憶作る風景
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暗くした部屋でスマホの照明がゆっくり時間を掴んでくれる
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くるまった布団の外のさらに外 現実だよと鳴く朝鴉あさがらす
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甘やかな香りで満たす午後の部屋 選ぶドーナツ跳ねる君の声
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悲しみを守るみたいに巻く毛布 安心してる息苦しさに
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ふたり子を育てたつもり親案ず連絡もなく老いの食卓
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耐えきれず遠く再読み込みをするブラウザの葬式ただ眺む
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まっさらで配送されし保険証 臓器など全て持ていけと書きつらね
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疲れたと回し車を降りたけど 気づいたらまた走り始める
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surtoutとくにミセス 「へー」で片づく教室と 好きからはみ出る私の「好き」と
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不可思議をかなえてくれた日々を経ていまはあなたのかみさまになる
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火を焚けば囲炉裏で手焙りわらべ等は ねまりて まだかときび団子待ち
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つばくらめ飛び交ふ軒にわづかずつ光と熱がしみとほりゆく
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鳥海山とりみやま朝な夕なに見て育ち 我れが産土うぶすな おもの如しも
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少しずつ少うしずつで変わってよこのままとろとろとろと過ぎたい
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我の強き優しさ貫き通すてふ君が誰ぞに似ていて不安
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