空青く有明の月ふんわりと四羽のカラスがせわしなく行く
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泣く笑う怒る本気の感情は腹の底から脳じゃないのね
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ハロウィンの飾りにろくろっ首描いたずいぶん和風なわが子のチョイス
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山ふもと 日本の原風景をてふてふと もみ殻匂へば 暫しばしの郷愁
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日曜日庭の草取り疲れおり「笑点」見つつのらり暮れゆく
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信じられないくらい怖い夢を見るタオルケットに顔押し付ける
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つかの間の夏日のあとの嵐も去り今朝はストーブがいや有り難し
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稜線に 赤い夕陽が 沈みゆく 一人眺むる 秋の夕暮れに
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ブレーカー落ちると闇に放られるゴミでさえ見えない理想郷
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いつまでも おもいなやむは 脳内の かどうりつ一定 たもつきまりで
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バスに揺られ眠る君の手にこっそりと添えた自分の手さえ愛しく
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こどもらは しっとよくぼう かくさず居 ちいさなけもの ぼんのうみまん
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しあわせをしあわせとして噛みしめる三十二回目の誕生日
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十分の砂時計では愛情を計れずにいる秋の夕暮れ
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砂時計ひっくり返すかのようにもらった愛をあなたに返す
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「中華はね 熱い・冷たい・辛いのね 三つ巴でしょ」とか言う自分
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屋根があり蛇口をひねれば水が出て本も読めるしただ君がいない
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幼きに歩きし此の町 変はらねば 心若がへり 呼吸すがすがし
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ふるさとの駅舎なつかし 降りゐるに草流れして心も帰れり
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AIに悩み相談するたびに「精神科に行け」と話を切られる
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うっすらとあおい星がとおくにみえる ごらんよボイジャー あれが地球だよ
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私では持ちえぬひかりを持つ人よどうか永遠にきらめいて
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ひとりでは何も出来ない現在に道しるべ無き道があるのみ
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さよさよと優しい風を見せながら群れるコスモス柔い十月
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ふと消えた花の残り香風に問う澄んだ空気にきみが恋しい
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窓からの風につきあう君の髪見惚れてるのはりんどうのせい
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寒すぎて 何もする気が 起こらない とは言ってられ ないので動く
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上からの力がそこは働くとキミは清流天使でいなさい
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不死鳥はいいな何度も羽ばたけて 僕の恋は火葬されて灰
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つやつやの爪が嬉しい手をひろげ寝転びながめむらもうっとり
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