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物寂びた紙の香りを思い出す図書館通う懐かしい日々
6
雨どきの しじまにいたり 君に問う 散りゆく恋路 恋情いずこ
4
晩秋の色葉散る庭大輪のキダチダリアの薄紅揺るる
30
空白に勝手に咲いた水仙が勝手にしおれて勝手にさびしい
9
もう過ぎた十一月に降る雪は私のようにきえてゆくもの
10
あぁ、君のいつも上がった口角は僕を倒せるやわらかい武器
26
朝四時の空気の匂いは 独りきり コンビニ着くとヨシダさんいる
7
暮れてゆく部屋の机上にスリープの明りの点滅するコンピューター
8
哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
48
海に僕捨てられたからヴィーナスに片腕あげた十六の冬
9
乗っかって ノリに海苔にもノリノリで 君と黄身とが踊り出したり
5
(
去りぬ人 恋しき君の影追って 追っては追って 僕は夢を知る
)
2
(
あの頃の 優しさ故の涙抱き ただ此処に飾る 我のドライフラワー
)
3
焼酎のソーダー割に柚子ザクザク「酔いどれ天国」一人気ままに
25
シャンメリー そっと冷蔵庫の隅に入れ クリスマスに向け 気分高める
16
通ぶってあれやこれやと試しつも 白いご飯にまさる快なし
19
ゆく秋の名残惜しきは
枝々
(
えだえだ
)
に僅か残れる桜紅葉よ /明日から冬らしく
26
納豆に日頃の苛々ぶつけても健気に美味い ごめんね。納豆。
23
夕餉まであとしばらくの間がありて 寝転がったら眠ってしまひ
16
「納豆を高速回転させるとき 苛々してるの覚えて置いて」
18
あんずって故郷のアイスの味に似てる よねって言われて微妙なあんず
6
仰臥して鳩尾あたりに手をかさね 呼吸をひとつ、もひとつ深く
15
学校の音楽室からもれてくる練習曲を月も聴いてる
29
窓に寄り 鰯雲見れば 君が弾く チェロの
音
(
ね
)
低く 空に溶けゆく
27
シナプスは
陽
(
よう
)
の粒子にときめいて月に微睡む雲の白網
19
アイルーのケープも干して 日は暮れて ちま猫ちゃんは おかおをあらう
16
列を成す 億の細道 ああ神よ 仏よ祈る 夢子夢太郎
6
亡き母は荼毘に付されて小仏を骨壷に入れる箸が震える
9
僕だけが損をしてると思う日よ今日はあそこの餃子を食おう
36
くりかえし見る夢のあり何ゆえに 乗るべき電車を焦りて捜す
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